「大画面iPad」が9万円安く買えるようになる意味 キーワードは「ディスプレー」「AI」「操作性向上」

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加えて、機械学習、AI処理を司るニューラルエンジンも高速化され、M2で毎秒18兆5000億回だった処理性能は、M4では毎秒38兆回にまで引き上げられている。

iPad上で、画像やテキストの処理、画像解析、映像や音声のリアルタイム処理などを行うアプリケーションが揃いつつあり、同等のパフォーマンスを発揮できるライバルが存在しない状態をアピールすることで、生成AIとは異なるより幅広いAIの活用において、「iPadの圧倒的な差」があることを強調している。

新アクセサリーにも「驚き」が

薄くなったiPad Pro向けには新しいMagic Keyboardが用意された。キーボードのパームレスト部分の素材がアルミニウムに変更され、耐久性が向上している。

またキーボードには、画面の輝度や音声入力、再生コントロールなどを行うことができるファンクションキーが新たに搭載され、操作性が向上している。

iPad Pro向けMagic Keyboardも刷新され、アルミニウム素材とファンクションキーが追加された(筆者撮影)

それ以上に注目すべきは、大幅な軽量化だ。特に13インチモデルとMagic Keyboardの組み合わせは、13インチMacBook Airと同等の重さになるよう目指しており、可搬性でMacを選択していたユーザーにとっては、iPad Pro 13インチモデルという選択肢が広がることになる。

もう1つの新しいアクセサリーが、Apple Pencil Proだ。これは、新しいiPad ProとiPad Airで利用できる。

Apple Pencil Proは、握る(スクイーズ)操作が追加され、ツール選択が素早くなった。また感触フィードバックや、向き・回転の検出も新たに対応する(筆者撮影)

新たに感圧センサーと感触フィードバック、そしてジャイロセンサーが内蔵された。軸を押し込むと、ペン先がある画面に筆先や色の選択ができるツールチップが表示される。また、操作の取り消しを行う際に感触フィードバックがあり、操作がわかりやすくなっている。

これらはアプリに合わせた機能の割り当てが可能だ。開発者によって、Apple Pencil Proの活用方法が広がる道筋を付けたことで、iPad向けのアプリ開発競争が激化することが期待できる。

2017年以降取り組んできたデバイス上でのAI処理の大幅な性能向上に加えて、そもそものタブレットの操作性向上や活用範囲拡大に取り組んだiPadの新ラインナップは5月15日に発売される。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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