藤野英人(レオス・キャピタル・ワークス取締役CIO) × うちだまさみ(フリーアナウンサー)
「リスクを取ることがリスクを減らすことにつながる」
東京証券取引所

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 藤野 ただ、その部署はCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)やハワイ州など、海外の巨大投資家の資金運用を担当していたのです。しかも先輩社員がユニークで、常々私に「この仕事は自分の実力が大切だ。会社の中での出世を考えても意味がない。だから、私にゴマをすっても、何の意味もないよ」と言うのです。目線がフェアで、常に外を向いているんですね。そういう人たちばかりだからか、先輩はヘッドハンティングされてどんどん社外に出て行ってしまい、気が付くと中小型株の知識では私が社内で一番になった。それで、23歳の時にファンドマネジャーに、26歳で中小型株の運用ヘッドになったのです。

うちだ その頃には、もう法曹界を目指そうという気持ちは無くなっていましたか。

藤野 入社後1年半くらいは正直、いつ辞めようかと考えていました。当時の中小企業の経営者って、結構個性的でキツめなイメージの人が少なくなかったのです。そういう人に毎日会わなければならないのが嫌だったのですが、ある日、ふと気付いたのですよ。「ああ、この人たちの人生って浮き沈みが激しいけれども、物凄くカラフルで、本当にリアルな世界で生きている」ってね。そう思えるようになってから、一段と仕事に集中するようになり、司法試験を受ける気持ちはどこかに消えていました。

フリーアナウンサー
うちだ まさみ

うちだ 先ほど、リスクって何ですかと質問した話がありましたが、運用の経験を積んで来られて、藤野さんとしての答えは見えてきましたか。

藤野 難しいね~。定義的に言えば、リスクとは変動性、つまり価格のブレを指しているのですが、株式に投資する以上、ブレをゼロにすることは出来ない。大事なことは、いかにブレを最小限にするかということです。では、いかにしたらリスクを減らせるのかを突き詰めて考えていくと、たくさんのリスクを取ることが大事なのではないか、という結論に達します。

うちだ たくさんのリスクを取る・・・・・・。

藤野 ただし、同じ方向のリスクをたくさん取ると、すべてが共振してしまうので、これは避けなければなりません。大事なことは、バラバラの価値観に分散投資をすることです。たとえば私たちが運用している「ひふみ投信」は、よく同業者の方から「ポートフォリオに方向性が見えない。同一人物が運用しているファンドとは、とても思えない」という評価をいただくことがあります。これは、価値観をバラバラにして銘柄を選んでいるからです。今、弊社の運用チームは6人で構成されているのですが、各人が選んだ銘柄をランダムに組み入れる。投資するタイミングもランダムにする。かちっと組み立てられた仕組みのなかで運用するのではなく、すべてをランダムにすることが、最終的にリスクを減らすことにつながるのだと考えています。

うちだ 「+YOU」の活動についてひとことお願いします。

藤野 +YOUで一番気に入っているのは、「一人ひとりがニッポン経済」というキャッチフレーズなんです。これ、本当にいい言葉だと思いますよ。日本経済を構成している、日本で生活している人、一人ひとりの声に耳を傾けると共に、双方向で意見を交わしていく。皆が経済の主役であり、その集合体が日本経済という大きな流れになっていく。それがまさにマーケットそのものでもあると思います。

※藤野氏も登壇する「+YOUフェスタ」の詳細はこちら