藤野英人(レオス・キャピタル・ワークス取締役CIO) × うちだまさみ(フリーアナウンサー)
「リスクを取ることがリスクを減らすことにつながる」
東京証券取引所
うちだ 運用されている「ひふみ投信」が4年連続でR&Iファンド大賞を受賞し、飛ぶ鳥を落とす勢いの藤野さんは、学生時代から投資をしていたのですか。
藤野 いえいえ。僕はもともと法律家を目指していたので、投資には全く興味がなく、当然ですがファンドマネジャーという仕事自体、知りませんでした。
うちだ それなのに、キャリアのスタートは投資顧問会社ですよね。どうしてですか。
藤野 在学中に司法試験に合格できなかったので、一旦就職しようと思ったのです。その時の恩師が、「弁護士になるとしたら人間相手の仕事だ。お金の流れを把握すれば人間の本質もよく分かる」と言われ、それはもっともだと思って受けたのが、野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)だったのです。
うちだ 投資に興味がなく、ファンドマネジャーがどんな仕事か知らなかった藤野さんにとって、投資の仕事はどのように映ったのでしょうか。
藤野 入社直後、専務と面談して、いろいろ説明を受けたのですが、何を話しているのがさっぱりわからない。で、何でも質問してくれと言われたので、「リスクって何ですか?」と聞きました。その瞬間、彼の表情が固まったのですよ。「こいつは本当に何も知らないのか。それとも知ったうえで、リスクのもっと深い意味を、あえてこの俺に聞いているのか」という感じで、じっと私のことを見ていたことを覚えています。そのくらい何も知らなかった。その後、野村グループ全体の集合研修が行われたのですが、ちょっとしたことがあって研修部の先輩社員に、ひとことクレームを付けました。そうしたら研修期間中、目をつけられてしまって挙句の果てに、私の評価を「組織に馴染めない人間」としたのです。結果、配属先は海外運用部という、野村投資顧問の中では亜流のところでした。