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藤野英人(レオス・キャピタル・ワークス取締役CIO) × うちだまさみ(フリーアナウンサー)
「リスクを取ることがリスクを減らすことにつながる」

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
「一人ひとりがニッポン経済」をテーマに、2012年4月からスタートした東京証券取引所のプロジェクト「+YOU」。日本全国各地で開催している「+YOUニッポン応援全国キャラバン」や、特定のテーマや指標で銘柄を取り上げ、個人投資家の銘柄選びに役立てる「テーマ銘柄」など、投資の意義やその魅力に触れていただくさまざまな取り組みを行っており、全容は「+YOUサイト」(http://plusyou.tse.or.jp/)で紹介されています。そのプロジェクトの応援団に私、うちだまさみが連続インタビュー。プロジェクトに懸ける思い、投資の大切さなどについて話を伺いました。第三回目は、レオス・キャピタル・ワークス取締役CIOの藤野英人さんです。

うちだ 運用されている「ひふみ投信」が4年連続でR&Iファンド大賞を受賞し、飛ぶ鳥を落とす勢いの藤野さんは、学生時代から投資をしていたのですか。

藤野 いえいえ。僕はもともと法律家を目指していたので、投資には全く興味がなく、当然ですがファンドマネジャーという仕事自体、知りませんでした。

うちだ それなのに、キャリアのスタートは投資顧問会社ですよね。どうしてですか。

レオス・キャピタル・ワークス 取締役CIO
藤野 英人

藤野 在学中に司法試験に合格できなかったので、一旦就職しようと思ったのです。その時の恩師が、「弁護士になるとしたら人間相手の仕事だ。お金の流れを把握すれば人間の本質もよく分かる」と言われ、それはもっともだと思って受けたのが、野村投資顧問(現野村アセットマネジメント)だったのです。

うちだ 投資に興味がなく、ファンドマネジャーがどんな仕事か知らなかった藤野さんにとって、投資の仕事はどのように映ったのでしょうか。

藤野 入社直後、専務と面談して、いろいろ説明を受けたのですが、何を話しているのがさっぱりわからない。で、何でも質問してくれと言われたので、「リスクって何ですか?」と聞きました。その瞬間、彼の表情が固まったのですよ。「こいつは本当に何も知らないのか。それとも知ったうえで、リスクのもっと深い意味を、あえてこの俺に聞いているのか」という感じで、じっと私のことを見ていたことを覚えています。そのくらい何も知らなかった。その後、野村グループ全体の集合研修が行われたのですが、ちょっとしたことがあって研修部の先輩社員に、ひとことクレームを付けました。そうしたら研修期間中、目をつけられてしまって挙句の果てに、私の評価を「組織に馴染めない人間」としたのです。結果、配属先は海外運用部という、野村投資顧問の中では亜流のところでした。

 藤野 ただ、その部署はCalPERS(カリフォルニア州職員退職年金基金)やハワイ州など、海外の巨大投資家の資金運用を担当していたのです。しかも先輩社員がユニークで、常々私に「この仕事は自分の実力が大切だ。会社の中での出世を考えても意味がない。だから、私にゴマをすっても、何の意味もないよ」と言うのです。目線がフェアで、常に外を向いているんですね。そういう人たちばかりだからか、先輩はヘッドハンティングされてどんどん社外に出て行ってしまい、気が付くと中小型株の知識では私が社内で一番になった。それで、23歳の時にファンドマネジャーに、26歳で中小型株の運用ヘッドになったのです。

うちだ その頃には、もう法曹界を目指そうという気持ちは無くなっていましたか。

藤野 入社後1年半くらいは正直、いつ辞めようかと考えていました。当時の中小企業の経営者って、結構個性的でキツめなイメージの人が少なくなかったのです。そういう人に毎日会わなければならないのが嫌だったのですが、ある日、ふと気付いたのですよ。「ああ、この人たちの人生って浮き沈みが激しいけれども、物凄くカラフルで、本当にリアルな世界で生きている」ってね。そう思えるようになってから、一段と仕事に集中するようになり、司法試験を受ける気持ちはどこかに消えていました。

フリーアナウンサー
うちだ まさみ

うちだ 先ほど、リスクって何ですかと質問した話がありましたが、運用の経験を積んで来られて、藤野さんとしての答えは見えてきましたか。

藤野 難しいね~。定義的に言えば、リスクとは変動性、つまり価格のブレを指しているのですが、株式に投資する以上、ブレをゼロにすることは出来ない。大事なことは、いかにブレを最小限にするかということです。では、いかにしたらリスクを減らせるのかを突き詰めて考えていくと、たくさんのリスクを取ることが大事なのではないか、という結論に達します。

うちだ たくさんのリスクを取る・・・・・・。

藤野 ただし、同じ方向のリスクをたくさん取ると、すべてが共振してしまうので、これは避けなければなりません。大事なことは、バラバラの価値観に分散投資をすることです。たとえば私たちが運用している「ひふみ投信」は、よく同業者の方から「ポートフォリオに方向性が見えない。同一人物が運用しているファンドとは、とても思えない」という評価をいただくことがあります。これは、価値観をバラバラにして銘柄を選んでいるからです。今、弊社の運用チームは6人で構成されているのですが、各人が選んだ銘柄をランダムに組み入れる。投資するタイミングもランダムにする。かちっと組み立てられた仕組みのなかで運用するのではなく、すべてをランダムにすることが、最終的にリスクを減らすことにつながるのだと考えています。

うちだ 「+YOU」の活動についてひとことお願いします。

藤野 +YOUで一番気に入っているのは、「一人ひとりがニッポン経済」というキャッチフレーズなんです。これ、本当にいい言葉だと思いますよ。日本経済を構成している、日本で生活している人、一人ひとりの声に耳を傾けると共に、双方向で意見を交わしていく。皆が経済の主役であり、その集合体が日本経済という大きな流れになっていく。それがまさにマーケットそのものでもあると思います。

※藤野氏も登壇する「+YOUフェスタ」の詳細はこちら