東証

中野晴啓(セゾン投信代表取締役社長) × うちだまさみ(フリーアナウンサー)
「株式投資はビジネスの価値を見極めること」
東京証券取引所

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うちだ その時の悔しさが、セゾン投信を立ち上げる原動力になったのですね。

中野 そうかもしれません。そして2000年に、すでにさわかみ投信を立ち上げていた澤上篤人さんと出会い、直販の投資信託会社を立ち上げるプランを教えていただき、その後2度の左遷など苦悶しながらも2007年にセゾン投信を立ち上げることが出来て、はや8年。純資産総額は1,000億円を超えるまでになりました。

フリーアナウンサー
うちだ まさみ

うちだ ちなみに中野さんご自身は、株式投資の経験はあるのですか。

中野 社会人になりたての頃、バブル経済だったこともあり株式投資にはまったことがあります。

うちだ 結果はどうでしたか。

中野 大損です。最終的には、1点買いした銘柄が大きく値上がりしたので大損した分を取り戻せましたが、これには本当に参りました。なぜ失敗したのかを分析すると、短期的な値上がり益を狙いに行ったことが敗因です。つまり企業を買うのではなく、株価を買っていたのです。銘柄を選ぶ時も、その企業が行っているビジネスの本質的な価値を見極めるのではなく、チャートで株価を見て、何となく値動きが軽くてすぐ上がりそうだから買うというような投資法をしていました。もう反省点ばかりですね。

うちだ これから投資を始める人に何かアドバイスはありますか。

中野 特に個別株に株式投資をする方は、きちっと勉強することをお勧めします。ゴルフはハンディキャップがあるので、プロとアマチュアが同じコースでスコアを競い合えるのですが、株式市場にハンディキャップはありません。プロの投資家も、個人投資家も、まったく同じ条件の下で戦うことになります。プロの投資家は、それこそ1日中、株式市場の動向を見て、個別銘柄の情報も得ています。売買判断を下す回数も、個人投資家に比べて圧倒的に多く、それだけ高い経験値を持っています。そういうプロの投資家と渡り合うには、それなりの知識武装が必要です。「個人投資家だから手心を加えてくれるだろう」などという甘い考えは、一切通用しないのです。厳しい言い方ですが、それが株式市場なのだという認識は、持っておいた方が良いでしょう。

うちだ 「+YOU」の活動についてひとことお願いします。

中野 株式投資で大事なのは、ビジネスが生み出す価値をしっかり評価することです。チャートの形とか、現在の株価などは、二の次、三の次の話です。本源的なビジネスの価値を見極めたうえで、その会社をいくらで買うのが妥当かを考えること。相場を見るのではなく、あくまでも価値を見ること。これこそが本物の長期投資です。その本質を+YOUの活動を通じて伝えていきたいと思います。

※中野氏も登壇する「+YOUフェスタ」の詳細はこちら

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