ちなみに先日見たあるニュースで、「受験勉強をする際、手元だけをお互いに映して共有している」というものがありました。Z世代もやはり、自分なりの方法で行動の同期を図っているのだなと感じました。
チームの力を発揮するための「前提条件」
もう一つ、「明確な目標を示す」こともまた、チームの集中力アップには欠かせない要素です。たとえば、スポーツは「勝つ」という目標が明確なので、チームとして集中状態に入りやすいともいえます。もちろん、仕事にも本当は目的があるはずなのです。
しかし、日々の仕事に追われているうちに、「何のために働いているんだっけ?」とか「この仕事をやることで、本当に売り上げは上がるのか?」「世の中のためになっているんだろうか?」というような、疑問、雑念が浮かんでしまうことがあります。逆に言えば、そうした集中を妨げる要素を排除し、スポーツのチームと同様に明確なアウトプットをリアルにイメージさせることができれば、チームの集中力は格段に高まるはずです。
リアル出社とリモートワークを使い分ける「ハイブリッド型」の働き方が課題となっているのは、日本だけでなく、アメリカなどの海外でも同じです。
米ダラス連銀は30日、新型コロナウイルス禍を受けた在宅勤務の増加で、米大都市での生産性が相対的に低下しているとの分析を示した。在宅ではアイデアの交換や人脈づくりが難しくなっているためだ。(中略)在宅勤務は通勤コストの削減や、家族や友人と過ごす時間の増加などメリットも注目されてきた。一方で、多くの企業は生産性の向上へオフィス勤務を重視しており、今回の研究が働き方を巡る議論に一石を投じる可能性もある
(『日本経済新聞』2022年9月2日)
同じく『日経新聞』(2022年6月7日)の記事で、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長のロッシェル・カップ氏の指摘も示唆に富んでいます。
アップルと同様に米グーグルも4月から週3日の出社を義務付けた。一方、米メタは社員がいつまでもリモートワークを申請できるようにしており、アマゾン・ドット・コムは個々のチームに決定を委ねている。
従業員をオフィスに呼び戻すために、いくつかの企業は特典を増やしている。JPモルガン・チェースはニューヨークの最新鋭のグローバル本社を公開したが、ヨガやサイクリングルーム、瞑想スペース、アウトドアエリア、フードホールなど、シリコンバレー企業を思わせるアメニティが備わっている。
ハーバード・ビジネス・スクールの新しい研究によると、ハイブリッドワークには「スイートスポット」が存在する。週に1〜2日の在宅勤務は仕事の成果物の新規性と仕事に関するコミュニケーションの両方を増加させる可能性があるそうだ。
その研究者によると、「ハイブリッドワークは、同僚から孤立する心配がなく、ワークライフバランスをより良くすることで、どちらとも両立させる」ことが示唆されたそうだ
リモートワークが広まる中、チームの集中力をどう高めるかは非常に大きな問題ですが、それを実現することができれば、競争力にもなる、ということだと思います。
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大嶋 祥誉
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役
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おおしま さちよ / Sachiyo Oshima
センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。上智大学外国語学部卒業。米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業の立ち上げ戦略、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。
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