東京でも感染者が見つかった「はしか」どう防ぐ? 少ないウイルス量でも感染して発病する可能性

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インフルエンザは鳥や豚に感染し、次々に新型インフルエンザが発生する。2009年に発生した新型インフルエンザでは、どこからともなくウイルスが現れ、当初は高い死亡率が報告されたため、世界中を恐怖に陥れた。コロナやインフルエンザは、エアロゾルで感染するため、瞬く間に感染者が増加する。抗ウイルス薬の供給が逼迫すれば打つ手はない。

狂犬病は哺乳動物すべてに感染し、ときどき感染動物がヒトを咬むことで感染する。家畜やペットへのワクチン接種が行われても、野生動物での感染を制御することはできない。いまなお全世界では、およそ6万人が狂犬病で命を落としている。

麻疹ワクチンの有効率は驚異の97%

麻疹ワクチンは、1958年に開発された。ウイルスを何度も継代培養すると、麻疹ウイルスに対する免疫反応を引き起こすが、ほとんど症状を起こさないように弱毒化できることがある。

その生きたウイルスが弱毒生ワクチンの有効成分だ。このワクチンは1963年にアメリカで認可され、WHOによって世界中で大規模に使用されている。この弱毒生ワクチンは非常に有効で安全性が高い。現在日本で用いられているのも弱毒生ワクチンであるが、2回の接種で97%の麻疹発病予防効果がある。COVID-19のワクチンが登場したとき、95%の発病予防効果に世界は驚いたが、それを超える性能をずっと維持しているのだ。

ワクチンは麻疹患者数を大幅に減少させ、何百万人もの命を救ってきた。しかし、麻疹は依然として公衆衛生上の大きな問題であり、世界中で年間10万人以上の死者を出している。現在、最も感染者が多いのはアフリカ、南米、アジアである。しかし今、ワクチンが行き届いているはずの国でも再び流行するようになった。

感染症のコントロールに影響するファクターは、ヒト以外に感染するか、ウイルスの排出ルートと期間、感染した場合に発病する割合、無症状の感染者から他者に感染が起きるか否か、有効なワクチンの有無などだ。

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