プラゴミの"ダイエット"ができないジレンマ 環境問題に意識が高くても行動を伴うのは困難

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
プラスチックゴミの量を量った記録の一覧
自宅から排出するプラスチックゴミの量を量り、記録していた(写真:鈴木さん提供)
この記事の画像を見る(6枚)

横浜市在住の鈴木さん(仮名:50代女性)は、日々の生活の中でプラゴミをいかに減らすかを考えている。買い物をする際は、なるべくプラ包装が少ない商品を選ぶ。生活様式は大きく変えずに、ちょっとした選択で、プラゴミを減らすことは可能だと実感している。

コロナ禍では、デリバリーを含め家で食事する機会が多く、容器などのプラゴミが増えた。

気になった鈴木さんは当時、どれだけ自宅からプラゴミを出しているかを知るために、毎日重さを計量することにした。その目的は「ダイエットと一緒で計量、記録することで少しずつ減らすことでした」と語る。

計量ダイエットは、摂取する食品のカロリーなどの量を把握することで過食を防ぎ、健康的な食生活に役立つとされている。体重の減少をグラフ化してワクワクしたように、プラゴミの重さを「見える化」することで、削減の動機にしようと考えたのだ。

プラゴミなしのライフスタイルは困難

しかし、「続けていくうちに、どんな生活をすればプラゴミを出さずに済むかがわかってきました。でも、そのライフスタイルを取れないのが現実だと痛感しました」と振り返る。

自炊用の食材も、お惣菜も、プラスチック容器や包装で販売されている。毎食外食にすればプラゴミは減るだろうが、現実的ではない。あるいは、山奥で自給自足をすれば、プラゴミは出ないかもしれないが、「(都市に住み仕事を持つ)自分にはできない」と鈴木さんは話す。

石油由来のプラスチックは、あらゆる商品の包装に使われている。便利で使い勝手が良い反面、温暖化の原因となるほか、不適切な廃棄は海洋汚染を引き起こす。

大都市での生活は利便性が高いが、環境への負荷も高い。国際エネルギー機関(IEA)によると、都市には世界人口の約半数が暮らし、国内総生産の8割を創出しているが、エネルギー消費の3分の2を占め、温暖化ガスの約7割を排出している。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事