渋澤 健(コモンズ投信取締役会長) × うちだまさみ(フリーアナウンサー)
「自分が納得できるものに投資しよう」
東京証券取引所

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渋澤 人から言われたものを買うというのはダメですね。これは株式に限った話ではなく、投資をする場合には、自分で納得できるものを買うことが大事です。自分で考え、自分で判断する。そうしなければ、自分自身が成長しません。

フリーアナウンサー
うちだ まさみ

うちだ アベノミクスがスタートして、日経平均株価は2万円台まで上昇してきました。この水準はもう高いから買えない、という投資家も多いと思いますが、今、株式に投資しても大丈夫でしょうか。

渋澤 目先の値上がり期待で投資するのではなく、長い目で考える必要があると思います。デイトレードのように売ったり買ったりを繰り返すのではなく、コツコツ積み立てていく。特に、日常は仕事に就いている現役世代には、それがベターではないでしょうか。私も2000年から積立投資をスタートさせたのですが、現在に至るまで、何度も下落相場を経験しています。2003年までは下げる一方でしたし、2007年に向かってやっと戻ってきたと思いきや、今度はサブプライムショックやリーマンショック。そして、2012年末以降のアベノミクス相場で回復です。このような上がり下がりを経験していますが、その間、一回も解約したいと思ったことないです。定額を積み立てるということは、価格が下がると購入する口数が増えて、上昇すると口数が減りますから、すごく合理的ですからね。ずっと積立投資を継続したお陰で、今は順調に資産が殖えています。市場の変動を、誰でも上手に乗ることができるのが積立投資ですね。

うちだ 物凄く単純な質問ですが、株式には投資した方が良いとお考えですか。

渋澤 今年は終戦70周年なので、それに絡めてお話をしますと、当時、日本は戦争に負け、戦費調達のために大量発行された戦時国債の価値は、全くのゼロになりました。1946年には新円切り替えの施行と同時に預金封鎖が実施され、国民が安心な資産と思っていた旧円現金の価値はほぼ紙切れ同然になりました。そして東京証券取引所は、終戦と共に立会が停止され、再開されたのは1949年でした。でも、この間、日本の会社は無くなることなく、株式の価値もゼロにはなりませんでした。つまり、驚天動地のようなショックが起きても、人々の生活は続きます。その生活に必要な商品やサービスを提供する企業の価値は持続的に成長できますので、そのような成長を導く企業の株式はむしろ安全資産といえます。今に照らして考えると、巨額の財政赤字を抱えた日本の国債よりも、グローバルに収益を稼ぎながら持続的な価値創造する企業の株式の方が、安全資産であるとも考えられます。株式に投資した方が良いかと問われれば、その答えはイエスです。

うちだ 長期投資には根気が必要だと思うのですが、それを続けていくためには、どういうマインドセットが必要でしょうか。

渋澤 積立投資は宝箱だと考えてみてはいかがでしょうか。日常の生活に使うお金以外は、どんどん積立投資に回していく。つまり宝箱の中に放り込んでいきます。宝箱ですから、その中身はあまり見ないようにした方が良いでしょう。もちろん、箱の中身は、その時々の市場環境によって、増えたり減ったりを繰り返します。でも、21世紀において世界経済はこれからも成長を続けていくという前提に立てば、長い歳月を経た暁には、その宝箱の中身が大きく増えている可能性が大きいと思います。そういう、少し高い目線を持つことが、長期投資を続けていくうえで必要ではないでしょうか。

うちだ 最後に「+YOU」の活動についてひとことお願いします。

渋澤 かつて投資セミナーといえば年齢層の高い方が中心でしたが、+YOUのセミナーには若い現役世代が大勢参加してくださっています。新しい投資家が増えているんですね。年寄りと比べて若い人が持っている貴重な資産は、これからの人生という時間です。その時間があるからこそ、長期投資の成果が高まります。まさに継続は力。これからも続けていきたいですね。

※渋澤氏も登壇する「+YOUフェスタ」の詳細はこちら