SIMロックフリー

ユーザーに新たなメリット
新しいサービスで選択肢が広がる

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まずは、料金体系とプラン、端末の選択肢が増えること。実際、格安SIMを提供しているMVNOには多彩なプランがラインナップされています。たとえば、携帯電話の大手でスマホを契約する場合、定額の通話し放題とデータ量を組み合わせるプランが提供されていますが、MVNOでは音声通話機能をつけないことで低価格を可能にしたり、通信スピードに差をつけたりすることで多彩なプラン設定を実現しています。MVNOに対応して既存の通信事業者も料金プランを工夫してくる可能性もありますので、新しい、かつ多様な選択肢から最適なプランを選べる環境をつくることは、ユーザーにとって大きなメリットにつながるはずです。

サービスの競争がユーザーメリットを高める

―そして、次の段階とは。

阿波村 安価な通信料はユーザーにとって魅力ではありますが、価格競争にはおのずと限界があるでしょう。

では、何が起こるのかというと、これまでの通信事業者が提供できなかったような新しいサービスがMVNOから提案されていくことだと考えています。現在、さまざまなプレーヤーが格安SIMを提供していますが、それぞれの強み、特徴を生かすことで新しいサービスが誕生していくことでしょう。たとえば、保有しているコンテンツも含めて安価に提供する、情報システムやネットワーク構築の技術やノウハウを活用してよりセキュアな環境を実現する、あるいはユーザー層との幅広い接点を生かしてポイントサービスなどと連動させるといったように、これまでにはなかった新しい競争が期待できます。

―その事業者にしかできないようなサービス、品質を提供することによって、スマホなどのマーケットそのものがもっと面白く、エキサイティングになっていくと。

阿波村 実際、リサーチをするとMVNOに関心を示す層は少なくありません。SIMロック解除の義務化はユーザーがMVNOに移行する一つの障壁をなくす効果があるでしょう。ユーザーにもたらすメリットも大きいのではないでしょうか。

格安SIMを選択するにあたって

―では、MVNOのSIMを利用するにあたってのポイントを挙げてください。

阿波村 新しいサービスを享受できる一方で、これまで利用していたサービスが使えなくなる可能性があることは念頭に置く必要があります。端末の設定などを自分で行うケースもあり、リテラシーを問われる場面もある。また、ユーザーサポートの体制にも留意すべきでしょう。そして、SIMロックが解除されていても、技術的に利用できる端末、利用できない端末がありますので、それを把握しなくてはなりません。

さらにスマホなどの利用目的などに応じて、最適なプランを選択することが重要です。たとえば通話の多い人はMVNOに乗り換えても料金が安くならない可能性があります。大半のMVNOが設定している通話料金の現状は30秒20円で横並びとなっています。一方、携帯電話大手は定額の通話し放題を提供しています。そのため、基本通信料などが安くなっても、1カ月に何時間も通話をするようなユーザーにとっては結果的に割高となることがあります。何にどれくらい使用するか、利用シーンを想定しながら比較検討する必要があるでしょう。

―今後のMVNO市場の見通しを教えてください。

阿波村 まだまだ利用者が伸びる余地はあるでしょう。今回の指針は5月1日以降に発売された端末に適用されること、また購入から6カ月経ってからSIMロック解除に対応することになっていますので、指針そのものの実効性が出てくるのは今年の年末くらいからですが、長期的に見ればユーザーにとってメリットが増えることは間違いありません。もちろん、端末によっては今でもSIMロック解除が可能なケースもありますし、新しくスマホを持とうとする人にとっては最初から多彩な選択肢から選ぶことができます。今後ますます競争が加速し、新しいサービスが増えていくことに期待しています。

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