数千万円を失いかけた80代女性を救った｢契約｣ 老後ひとり暮らしのお金を狙う悪徳業者も

森戸弁護士が経験したケースを紹介しましょう（守秘義務があるので事実関係を多少変更して記載します）。

その男性は、とある身元保証会社と財産管理契約していて、その会社の紹介で施設に入居しているおひとりさまでした。

60代後半で、両親はすでに亡くなっており、親しくしている親族もいません。両親が存命中に親しく付き合っていたという近所のおばさんがときどき面倒を見ていたようです。

森戸法律事務所に相談に来たのも、その近所のおばさんでした。

「この前、施設にお見舞いに行ったんです。そうしたら、とても不衛生な汚い部屋に寝かせられていて、おむつも替えてもらっていないような状態でした。

お金を払って施設に入居しているんですよ？ それなのに、ほとんど世話もされず、あれではネグレクト（放置）じゃないですか。あんまりです。なんとかしてもらえないでしょうか」

森戸弁護士は実際に本人とも会って話を聞いたのですが、たしかにひどい状態でした。なにしろ、ろくに入浴もさせてもらっていないので、会うだけで体臭がにおってくるのです。

そこで本人の了解のもと、その会社との財産管理契約を解除して、新たに森戸法律事務所に財産管理を任せることにしてもらいました。

そんな会社がすんなりと契約解除に応じるか心配もありましたが、森戸弁護士が本人の代理として契約解除の連絡をしたところ、案に相違して、向こうも代理の弁護士名ですぐに残金を返金するとの連絡が来ました。

グレーな業者をそのまま野放しにしていいのかという気持ちもありましたが、とりあえず相談者を救うのが先決なので、そのまま受け入れて、施設も変更する手続きを取りました。

その高齢者施設自体は、一応なんらかの認可を受けているところのようですが、清掃がオプションになっていて、基本料金だけだとほぼ放置状態になってしまうのです。どちらかといえば、ひとりで生活できる人が住む、サービス付き高齢者向け住宅みたいなところだったようです。

老後ひとり暮らしを狙う悪徳業者は増えていく

高齢のおひとりさまを狙った悪徳ビジネスは今後もどんどん増えていくでしょう。

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いま、よく聞くのは、病院への入院時や施設への入居時などに必要な、身元引受人や保証人を代行する業者です。

いわゆる保証会社と呼ばれるもので、NPO法人が多いのですが、中には、ほとんど何もしないまま毎月の報酬だけを受け取って、死んだら遺体を引き取って最低限の処理をするだけのところもあると聞きます。

高齢のおひとりさまは、営業の口車にのってなんらかの会社と契約をしてしまう前に、地域包括支援センターや自治会の民生委員、あるいは役所の相談窓口など、営利ビジネスと無縁である公的機関に相談するようにしてください。

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