どういうことかというと、従来のようにオフィスに集まって8時間働くことを前提にしていると、予定が1時間空いたとしてもとくにできることはなく、単なる空き時間になってしまう。一方、インターネットを介した働き方だと、8時間を4時間×2や、2時間×4の形で細切れにして、どこかの時間枠が空いたら、別の仕事を入れられるようになっていく。
クラウドソーシングによって、世の中の生産性を大きく上げられることに気づいた。今では皆が知っていることだけれど、2012年の僕には新鮮な驚きだった。
クラウドソーシングの本質に気づく
今まで無為に空き時間をつぶしていた人を稼働させ、今までリアルな場所で行われていたことがデジタル空間に移行することで、社会全体の生産性を上げられる。そんなクラウドソーシングの本質に気づいて以降、クラウドワークスで頑張る意味をすごく感じるようになった。
僕らは「働く」という領域で事業を展開したが、シェアリングエコノミーというくくりでいえば、同時期にオンラインフリマではメルカリが、配車ではUberが、宿泊ではAirbnbが広まった。そんな時代だった。
――4歳上の兄、経済学者の成田悠輔さんがクラウドワークスと共同研究をしていました。
研究対象としてもクラウドソーシングプラットフォームは面白く、例えば、労働市場の研究に応用できる。
ある仕事を実行する能力のある人がいて、その仕事に対する需要があるとき、どのようなマッチングが最適か、それによってどれぐらい労働者の収入が変わるか。
あるいは、プラットフォームを国に見立てる。すると、サービス流通量の合計がGDP(国内総生産)に当たるものになり、どういうマッチングをすればGDPが上がるのかという研究の材料になる。さらに、プラットフォーマーが得る手数料を税金と考えれば、減税や増税が人の労働意欲にどう影響するのかといった研究にも展開していく。
GDP(=売り上げ)が最も大きくなると同時に労働供給が高まり、税金(=手数料)も高い水準で得られる。それがどういう状況かを確認するための社会実験装置として、プラットフォームを捉えることもできる。
国の税率を実験のために変えることは難しいが、オンラインプラットフォームの世界では、比較的容易にそれを試すことができる。数百億円規模のお金が動くサービスであり、利用者の生活がかかっていることなので、もちろんおかしなことはできない。だが、よりよいプラットフォームの仕組みを考えることが、税制度について考えるヒントになるかもしれない。
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