大躍進の「Vチューバー」、意外と手堅い儲けの実態 大手事務所の時価総額は2000億円!UUUMと明暗
一般的なユーチューバーと同じ「撮影→編集→投稿」というやり方では、編集作業に大きな労力がかかる。一方のライブ配信であれば、編集自体が必要なくなるため、作業効率が大幅に改善される。カバーのようなVチューバー事務所は所属タレント向けに配信用のアプリを開発・提供しており、そのアプリを使用してタレントが簡単にライブ配信を行える。
「結果的にたくさんのタレントが事務所に所属するようになり、ビジネスとしてスケールしやすくなった」。カバーの谷郷社長はそう分析する。実際、カバーの売上高は直近3年で約14倍、ANYCOLORは直近4年で約29倍に伸びている。
Vチューバー事務所の業績が急拡大している背景には、収益源の多様さも関係している。
2023年には、YouTubeで広告単価の低い「ショート動画」が普及した反動で、長尺動画の再生数が伸び悩み、UUUMの収益柱であるアドセンス(YouTube広告)収入は大きく落ちこんだ。SNS上などでは、「ショートショック」というワードまで飛び交った。
実態は「YouTube外」で稼ぐモデル
同じYouTubeを主戦場とするVチューバー事務所にとっても、この現象は向かい風のように思える。
しかし、カバーやANYCOLORの売上高のうち、アドセンス収入は全体の数パーセント程度にすぎない。前述の通り、Vチューバーはライブ配信がメインであるため、そもそも動画の再生数が増えづらい。結果的にYouTube上での収入は、加入すると特典などを受け取れるメンバーシップの会費(月額課金)と、配信中にファンがタレントに対して送る投げ銭(スーパーチャット)がほとんどを占めている。
さらに、それら以上に売り上げの成長を牽引しているのが、タレントのグッズ販売と、タイアップ・ライセンスの収入だ。実質的にVチューバービジネスは、YouTubeで儲けるというよりも、YouTubeで認知度を拡大し、YouTubeの外で儲けるという構造になっている。
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