ITによる新しい時代の新しい価値創り

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モノがインターネットにつながる時代のビジネスを考える東洋経済新報社イノベーションフォーラム「Internet of Things-ITによる新しい時代の新しい価値創り-」が4月、東京・港区で開催された。
●主催:東洋経済新報社
●リードスポンサー:セールスフォース・ドットコム、日本ヒューレット・パッカード
●展示スポンサー:三井物産エレクトロニクス、ロックウェル オートメーション ジャパン、アカマイ・テクノロジーズ

 

【基調講演】
未来を創るIoT

森川 博之
東京大学 先端科学技術研究 センター教授

2014年1月、アメリカのIT企業が32億㌦の巨費を投じて、エアコンを制御するサーモスタット(温度調整機器)メーカーを買収した。狙いは、WiFi接続したスマートサーモスタットのデータだ。東京大学教授の森川博之氏は「勝ち組IT企業は膨大なデータを集め、価値を生んできた。その対象はバーチャルから、リアルなモノのデータへシフトしている」と話す。そして今、IoTのデータを使って生産性を向上させようという取り組みが進む。医療や農業など生産性向上の余地が大きい分野では、特にポテンシャルが大きい。土木分野では、地滑りの起きそうな場所や老朽化した橋にセンサーを設置し、モニタリングして危険を察知。ごみの量をデータ送信するスマートごみ箱は“回収の最適化"で大幅なコスト削減を実現した。やりたいことを可能にする技術が出そろってきており、ICTの活用がこれからさまざまな分野で始まる。「今後は性能向上より、うならせるストーリーが大事。照明機器から照明サービスの提供へといった具合に、企業は柔軟な思考で事業を再定義することが求められる」と述べた森川氏は、「IoTはユーザー企業の役割が重要。成功するには、いろいろやってみるしかない」と訴えた。

【IoTの実現】
すべてのヒト、モノ、コトがつながる時代のイノベーション~ビジネスで活用されるIoT構築事例

関 孝則
セールスフォース・ドットコム セールスエンジニアリング本部 副本部長

世界最大のクラウド型CRM(顧客管理)ベンダー、セールスフォース・ドットコムの関孝則氏は、モバイル、ソーシャル、IoTをクラウドで結び、モノの向こうにいる顧客とつながる「IoC(Internet of Customer)」の考え方について語った。同社の「Salesforce1 Platform」は、Honeywell社が提供するスマートサーモスタットのデータを使って住宅オーナーと設備保守業者をつなぐサービスのプラットフォーム基盤として採用されている。充実したアプリケーション開発の素材によって迅速にサービスを開始できるのも強みだ。デモンストレーションでは、部品化された素材を組み合わせてスマートフォン用アプリをわずか数分で完成させて見せた関氏は「リーンスタートアップのように最小限で始めてから進化・改良していく俊敏な開発ができる」と強調。「IoTは、モノをITでつなぐだけでなく、ビジネスプロセスにつなげるのがカギ。ビッグデータのアナリティクスではさらにそこに洞察を加えることになる。そこから、お客様を知り、もてなす新サービスづくりを考えていただければ」と語った。

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