激化の中途採用市場で勝つために必要な戦略転換 人材流動性の高まりがPL上のリスクに?

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人材の流動性が高まる中、中途採用に活路を見いだす企業は増えている。しかし、採用コストの増加に直面し、事業成長を脅かすというジレンマに陥る危険もある。人材を活かし、事業成長のエンジンとなる人的資本経営を実現するうえでも、入り口である採用手法の固定化はリスクにつながりかねない。人材の入れ替わりが激しくなることを前提に、経営計画を組むためには、どのような採用戦略を検討するべきか。

崩れる旧来の雇用形式。勢いを増す中途採用市場

日本企業は戦後「新卒一括採用」「終身雇用」「年功序列」を本格的に確立させ、世界で類を見ない経済発展を遂げた。若くて未経験である人材の育成と安定雇用は、長らく日本型雇用の王道だった。

しかし、今や社会情勢の変化とともにジョブ型採用や転職は珍しいものではない。国内では人材流動性を高めようと、政府は2023年5月に「三位一体の労働市場改革の指針」を提示。企業側に変革を求める内容の中に「成長分野への労働移動の円滑化」を盛り込んだ。オープンワーク執行役員の堀本修平氏は、こう予想する。

オープンワーク執行役員CGO 堀本修平 氏
オープンワーク執行役員
CGO
堀本 修平氏

「今後、国内の人材流動性が高まり続けるとみています。現在、役員を除く雇用者数は年間、約5700万人、そのうち、転職者は約300万人と、全体から見ると5.3%程度※1です。しかし、雇用の安定を売りにしている大手企業でさえも、転職意向や転職希望を持つ人は増加傾向にあります」

これらを背景として、企業は競争力で劣後しないために、優秀な人材の獲得に向けて中途採用に力点を置く必要がある。ところが、それにより新たな課題に直面するだろう。それは、採用コストの肥大化だ。堀本氏は、次のように説明する。

「中途採用には人材紹介サービスがよく活用されています。しかし、この紹介手数料は、海外では転職者の年収の10〜20%といわれる一方で、日本は30~35%。日本の採用マーケットが人材流動性の加速に追いついていないため、かかるコストが諸外国と比べて非常に高いんです。この状況下で、従来のように人材紹介サービスに頼っていてはコストが膨らみ続け、利益を圧迫する大きな要因になることは間違いないでしょう」

コスト抑制で注目を集める。欧米では一般的な採用手法

なし崩し的に中途採用を続けているとコストは青天井で跳ね上がり、PL(損益計算書)上のリスクになりかねない。中途採用戦略や採用コストの再検討は不可欠だろう。そうした中で注目されているのが、求人媒体や人材紹介サービスを介さずに、企業が求職者に直接アプローチして採用活動を行う「ダイレクトリクルーティング」だ。

従来の採用手法とダイレクトリクルーティングの違い
ダイレクトリクルーティングとは、ダイレクトリクルーティングサービスに登録した人材データを基に、採用担当者が、直接スカウトメールを送信。求職者とやり取りして、面談や選考へと進み採用する手法

「人事担当者など企業内部の社員が人材紹介サービスのエージェントの役割を担うことで、採用コストを大幅に抑えられます。また、転職サイトに登録するほど積極的に活動していない転職潜在層にアプローチできるため、転職するつもりはなかったがスカウトメールをきっかけに転職したという優秀な人材も多いんです。

しかし、これまで外注してきた『候補者に対するアプローチ』を内製するわけですから、人員・工数・ノウハウを社内で保有する必要があります。そのため、コストメリットがあっても、ダイレクトリクルーティングを活用しきれないパターンも少なくありません」

では、ダイレクトリクルーティングを成功させ、コストメリットを享受するにはどうすればいいか。

「勝ちパターンは、人材紹介サービスを継続させた状態で、同時にダイレクトリクルーティング専門のチームを組成、時間をかけてナレッジを蓄積していくことです。まずは企業の経営層や管理者層が、今後の人材採用戦略の一環としてダイレクトリクルーティングの活用体制を構築することが肝要です」

このようにダイレクトリクルーティングは腰を据えて取り組む必要があるので手が出しにくい。しかし、それを乗り越えさえすれば、企業の採用力アップも期待できる。

人的資本経営にも好影響。2200社導入の注目サービス

では、求職者のデータを閲覧でき、やり取りするプラットフォームはどう選ぶか。中でも「OpenWorkリクルーティング」は導入社数約2200社、登録ユーザー累計約590万人(23年9月末時点/同社調べ)に上るサービスで注目だ。運用時のネックとなるダイレクトリクルーティングのノウハウを持つプロの代行サービスを用意し、社内にナレッジがない企業に伴走型のコンサル支援を提供している※2。加えて、初期費用は無料、中途採用は成功報酬が一律80万円とシンプルな料金設計。例えば、年収800万円の人材を中途採用した場合、人材紹介サービスの相場なら240万円から280万円かかることを考えるとかなり割安だ。

「OpenWorkリクルーティング」画面見本
自社のネガティブ情報を基に、スカウトメールに記載し、さらに改善策も示すことで求職者の好印象につなげるなど採用力強化に昇華させている企業も存在する。同時に、口コミ自体が無形資産の公表につながり、企業価値向上にも一役買うかもしれない

さらに、人的資本経営の推進時に求められる開示情報としても信頼される口コミサイト「OpenWork」と連携できる点も特徴的だ。転職先のいい点だけでなく、課題も含め、客観性のある第三者情報として確認できる。そのため、候補者は高い解像度で転職先を理解でき、入社後のミスマッチを防ぎやすいだろう。もちろん、企業側にとっても、候補者が深く自社を理解してくれるので期待値調整がしやすいというメリットもある。

「OpenWorkの自社に対する社員口コミ・評価スコアを見れば、組織を変革させるための課題もわかります。企業の重要な資産である人材を最大限に活用する人的資本経営を推進したいと真摯に考えている企業にとっては、このように社員からの評価を基に組織改革を進めることで、OpenWork上の口コミやスコアが変わっていく。それによって自分たちの採用力が上がる、といった中長期的なサイクルで組織を強くするエコシステムとしてもご活用いただけます」

雇用の流動性が高まる今、コストのバランスを踏まえて採用計画を立てることは、事業戦略上ますます重要になっている。経営トップは短期的な成果を求めず、ダイレクトリクルーティングへのシフトを前提に、長期スパンでの環境整備や人員配置を進め、中途採用市場で優位に立つ戦略を描くことが急務だろう。
⇒オープンワークリクルーティングの詳細を見る

※1 出所:総務省「労働力調査」(2022年平均/詳細集計)
※2 オプションサービス「スカウト代行プラン」。成功報酬額に40万円加算される