M&A成功の鍵 デューデリジェンス、条件交渉、PMIの再検証

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基調講演Ⅱ
クロスボーダーM&A
成功の鍵を握るCFOの役割
─真のクラウドが支える経営管理基盤のスピード構築とITガバナンス強化の実現に必要なこと

村上 智
ネットスイート カントリーマネージャー、バイスプレジデント
羽入敏祐
日之出監査法人 パートナー・公認会計士

組織改編、デューデリジェンスというそれぞれ別な立場でM&Aにかかわってきたネットスイート、日之出監査法人両社による対談形式でスタート、その中で村上氏はM&Aの背景にある"経営に変革をもたらすトレンド"として「強力な競合企業」「デジタル化」「新しいビジネスモデルの発展」「サービス化・製品化の波」の四つを提示。強い組織作りはマネジメント主導の組織・システムの改編であることに言及した。羽入氏は「クロスボーダーM&Aが企業の成長戦略に位置づけられ、新しい経営資源を取得する手段としても活用されている」と指摘。経営リソースをリアルタイムで可視化できる体制を築くために、社内の経営データを整備することが肝要であると述べた。

その後、ディー・エヌ・エーの村上淳氏が加わり、同社がモバイルゲームの再強化やネットのプラットホームの事業などを戦略的に展開していることに関連して、女性向けファッションのまとめサイトを運営する企業を買収したこと、また、過去の事業基盤立ち上げのノウハウを活用して短期間で新たなビジネス基盤を立ち上げたことを紹介。自らは業務改善の立場でM&Aにかかわり、「スピードを重視しているが、バックオフィスも違うので柔軟な対応が必要だ」と語った。

村上 淳
ディー・エヌ・エー 経営企画本部 IT戦略部 部長

この後、再び村上智氏と羽入氏の対談形式に戻り、村上氏は真のボーダレスを実現するポイントの一つである情報の整備に際してクラウドERPが一役を担う点に言及し、実例として過去一年半の間に40社のNetSuiteユーザー顧客がIPOを果たしていることを紹介した。それに対して羽入氏も「統一された経営基盤で情報を共有するのは自然な流れで納得感がある」と答えて、対談を終えた。

特別講演Ⅱ
ダイキン流。成長戦略の描き方

峯野義博
ダイキン工業 執行役員 グローバル戦略本部長 グッドマン社 非常勤取締役 ダイキンホールディングス(ヒューストン)社 取締役

ダイキン工業の海外1期生として採用され、約26年間海外にいたという自己紹介から話を始めた峯野氏は、実体験に基づくM&A論を語った。その中で峯野氏は、海外企業のM&Aで売上が大きく伸びてきたとし、「戦略は二流でいい、実行が一流であることが大事。何よりも大切なのは現場力」だと指摘。人を基軸にした経営を実行している結果、「M&Aの案件も現場から提案が出てくる」と、意外な事実を明かした。

また、北米市場は日本と空調文化が異なるため攻略できていなかったが、大型買収により新たな空調市場を創出し、「世界最大の市場でリーディングカンパニーの座を狙えるポジションを獲得した」と明言。中国では最大の競合企業と提携することで拡販を推進し、欧州やアジア・オセアニアでもそれぞれの地域に応じた戦略を展開。「世界5極体制を確立した」と語った。

そのうえで峯野氏は、「M&Aはそもそもリスクの高い戦略であり、どんなにデューデリジェンスを綿密に行っても、見えないリスクが存在する」と指摘。そのリスクを乗り越えてM&Aを行ってきたが、「急成長に伴う課題も浮上している。その課題を解決するために、経営幹部が各地を訪れてマネージャー会議を行ったり、グローバル人材の育成に力を入れている」と表明。「空調事業で世界のトップに立ったが、これからも新たな可能性を追求し続けていく」と決意を語り、講演を終えた。