神社庁幹部による約3000万円の「横領」が発覚 横領したのは神道政治連盟・打田会長の親戚

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都内の宮司は「この間、神社庁は『調査中』というばかりで横領の手口や、金が何に使われていたのかなど、ほとんど具体的には説明しなかった。警察に被害届けを出すと決めるまでにどうして5カ月もかかったのか」と首を傾げる。

背景に見え隠れするのが、上部組織である神社本庁で起きている内紛だ。

神社本庁で起きている泥沼の争い

神社本庁では2022年から2人の宮司が「総長の座」をめぐって争っている。一人は、2期6年が通例であるところ4期12年の長期政権を敷いてきた田中恆清氏(京都・石清水八幡宮宮司)、もう一人が芦原高穂氏(北海道・旭川神社宮司)だ。

経緯は以下の通り。

2022年5月、全国の神社庁長など約170人が集まる評議員会で、神社本庁の宗教的な権威である「統理」に伊勢神宮大宮司を務めた鷹司尚武氏が全会一致で選任された。

鷹司氏はその後の役員会で次期総長に芦原氏を指名。5期15年を目指した田中氏に退任を迫った。

ところが翌6月の役員会では15人中9人が田中氏の続投を支持。結果、宗教的権威である鷹司氏が指名した芦原氏と、宗教法人である神社本庁の役員会が議決した田中氏が、総長の正当性をめぐって争う構図が生まれた。

2022年の7月、神社本庁は芦原氏が宮司をする北海道の旭川地裁に、芦原氏が神社本庁の総長ではないことを確認する仮処分を申し立て、旭川地裁はこれを認めた。一方の芦原氏は東京地裁に地位確認請求訴訟を提起。「真の総長」をめぐる泥沼裁判が始まってしまう。

こうした中、約3000万円もの金を横領していながら東京都神社庁の態度が煮え切らないのは、実は理由がある。それは、M氏が田中氏を支持する神社本庁の中枢と結びついているからだ。

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