セミナーレポート

製造業の未来を切り拓く
グローバル戦略とイノベーション 原材料から最終消費者まで、グローバルレベルで実現するS&OP

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ソリューション講演
次世代テクノロジーを活用した
実践的S&OPと最新事例

東 政征氏
JDAソフトウェア・ジャパンシニアソリューション アドバイザー

在庫などの数量管理と財務目標等をつなぐサプライチェーンマネジメント(SCM)「S&OP」は、株主による財務指標改善の圧力が高まった2007~08年ごろから欧米企業を中心に取り組みが始まった。JDAソフトウェアの東氏は「ここ数年、グローバル化に伴いSCMが複雑化したことを受け、日本でも関心が高まっている」と指摘する。

S&OPのツールは大量のデータを扱い、需要を可視化。シナリオマネジメントを行えるITツールを活用すれば、SCMの計画精度が上がり、需給変動による計画のブレにも迅速に対応できるようになる。「JDA製品を導入した独・半導体製造のインフィニオン社は、計画策定作業時間を30%削減、計画誤差を最大90%低減した」と東氏。また、短期の細かいものから、長期の粗いものまで、粒度の異なるデータを一つのプラットフォームで管理できるJDAのソフトは、週次、月次、地域、全体など多様な期間、レベルで計画プロセスを回すPCメーカー、レノボ社のグローバル展開にも貢献している。

東氏は、「08~09年に韓国大手製造業と共にS&OPシステムを開発した時からのノウハウ・経験豊富な人材がグローバルで支援できること、お客様の要件に応じてSC全体をエンド・ツー・エンドでカバーしているソリューションを提供していること、そして、インメモリーデータベースによる高速処理、スケーラビリティや柔軟性の高さ」などを長所に挙げ、JDAのソリューションの優位性を解説した。

事例講演
JFEスチールの挑戦
~JFEスチールのSCM改革~

新田 哲氏
JFEスチール IT改革推進部長

02年の日本鋼管、川崎製鉄の統合以来、ITを活用した業務改革を進めてきたJFEスチールの新田氏は、「環境・実績の変化をリアルタイムで把握し、PDCAサイクルを回さなければグローバル競争で優位に立てない」と語る。そのための基盤となっているのが受注基幹システム「J-Smile」。「製鉄業は製品仕様などに関する項目が膨大であり、統合2社のデータモデルの統一が最重要な取り組みであった。この検討の中で注文データのモデルを見直し、顧客接点を改善。また、海外顧客にもタイムリーに製品を届けるために設けた海外生産子会社向けには、J-Smileと同一データモデルのパッケージERPを活用した海外標準システムによる基盤整備を進めた」と続ける。

同社のS&OPシステムは、JDAのソフトを活用して「J-Flessa」が10年に稼働。販売、生産、物流の各計画システムを統合し、縦割りで管理されていた需要、製造能力、物流のデータを共有化した。さらにJ-Smileや経理の実績、売上データとも接続。各営業担当者が立てた販売計画や実績データをつねに最新状態で把握できるようにした。販売計画データが整備されたことで、各工場ラインの製造能力調整の最適化も容易になり、期毎の計画策定期間は従来の半分程度に短縮できたという。また、「JDAのユーザーインターフェースは、表計算ソフトと同じため、ユーザー親和性も高い」と語る。新田氏は「共有データは、統一された定義で各部門が好きなメッシュで管理できることが大事なポイント」と、効率的なSCMを支えるためのデータモデル確立とデータ共有の重要性を訴えた。

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JDAソフトウェア・ジャパン株式会社
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