製造業の未来を切り拓く
グローバル戦略とイノベーション
原材料から最終消費者まで、グローバルレベルで実現するS&OP
●主催/東洋経済新報社 ●協賛/JDAソフトウェア・ジャパン
オープニングスピーチ
オープニングで、JDAソフトウェア・ジャパンの勝川氏があいさつ。サプライチェーンマネジメント(SCM)に特化したソリューションを提供する同社の製品・サービスは世界の小売業トップ100、消費財メーカートップ100の約8割で利用されているという。勝川氏は、「多くの企業が複雑性への対応、顧客中心への改革、俊敏な対応ができるビジネスモデルへの変革――の3点をSCMの課題と考えている」との調査結果を示し、「私どものソリューションを日本の製造業発展に役立ててもらえれば」と述べた。
基調講演
『良い設計の良い流れ』をつくる
現場発のものづくり戦略
東京大学ものづくり経営研究センターの藤本氏は、「ものをつくることだけがものづくりではない。付加価値は設計に宿っており、良い設計情報の良い流れをつくることが大切」と語り始めた。この20年余、日本のものづくりは苦闘してきた。冷戦終結と同時に、極めて賃金が安価な人口大国が世界市場に参入したからだ。それでも、生き残ってきた日本の現場について、藤本氏は「底力は特筆すべきもの」と話す。
なぜ、日本の現場は強いのか。その理由を藤本氏は、構造の点から言及する。日本の現場は、流れに応じてチーム内のプレーヤーが互いにカバーし合う「サッカー型」。ゴールも「お客が喜び、儲かり、雇用が守られること」と明確だ。日本の現場は地域の一部という意識が強く雇用を守ることを重視する。藤本氏は「地場企業の社長や工場長が走り回って新しい設計で需要創造するプロダクトイノベーションと、生産設備を一人で複数台扱う多台持ちに代表される生産性向上のプロセスイノベーションを同時に起こしてきた」と指摘する。日本の現場の競争力は、すり合わせが重要な自動車など、調整集約型製品で優位を保っている。最近は、国内造船中手の健闘が注目される。海外生産を拡大してきた企業も日本の現場を再評価している。藤本氏は「この数年新興国の賃金高騰が本格化し、ポスト冷戦期からの歴史の流れの潮目が変わってきた」と指摘。「円安による一時的な動きではない」と強調した。