英語特集

起業家として「いつか世界に行ってみたい」
だから必ず英語は必要になる

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最近、急に英語を使う機会が増えたという人は多いに違いない。メール、電話、会議など、必要に迫られて慌てて勉強を始める、英会話スクールに駆け込む人が増えている。楽天やファーストリテイリングなどのように英語を社内公用語にする企業も増える中で、日本にいながらもグローバル化を体感せずにはいられなくなっている。新しいことを始めるのにふさわしい春だ。この時代を生き抜くための英語力の鍛え方を探ってみた。

早稲田大学在学中、アルバイト求人サイト「ジョブセンス」等を運営するリブセンスを起業した村上太一氏。企業がアルバイトを雇うため、雑誌やウェブサイトに掲載料を払って求人募集を出すのが当たり前だった時代……求人募集の掲載を無料にし、採用が決まった時点で初めて利用料が発生する成功報酬型の求人サイトを立ち上げ業界に一石を投じた。以後、右肩上がりに成長を続け、2012年には史上最年少となる25歳の若さで東証一部上場を果たした村上氏は、次の成長を見据え、昨年から英語の勉強を始めたという。その理由を聞いた。

―――英語を始めたきっかけは、何だったのでしょうか。

村上 英語の情報に触れる機会って格段に多くなっていますよね。インターネットであらゆる情報が検索できますし、SNSの普及などで得られる情報も増えています。そうした中で、知りたい情報が英語で書かれていることが多くて、やっぱり英語が必要だと感じざるを得ない状況でした。

たとえば、当社が新規でサービスを展開しようと思った時、類似サービスがないか事前にリサーチをするんですが、英語でないと情報が得られません。日本語に訳されている記事もありますが、情報量が少ない、というかほとんどない。どんな企業が伸びているか、IR情報やSNSなどで評判を見るには、どうしても英語が必要なんです。たとえ日本だけでビジネスを展開していたとしても、市場の動きや海外の事例を知っていれば、同じ失敗をせずに済みますよね。どれだけ調べたかで、意思決定の精度が上がりますし、事業展開のスピード感も変わります。

―――誰かに翻訳してもらうという選択肢もありますが。

村上 もちろん、翻訳を依頼することもありますが、時間がかかりますよね。上がってきたレポートに違和感があったとき、再度報告を求めていたらやっぱり遅くなります。と言っても、自分で英語を読むのに、まだ時間はかかるんですが(笑)。

そういう意味では、通訳も同じですね。年数回、海外投資家が多数来日するIRカンファレンスに参加していますが、通訳を介すと時間がかかって提供できる情報が限られてしまいます。時間差があって相手をイライラさせてしまうこともあるでしょうし、ニュアンスもシンプルになってしまい伝えたいことを伝えきれていないと感じています。先日、米国のベンチャーキャピタルの方とお話しする機会があったのですが、英語が話せていたら、もっと現地のスタートアップに関する有意義なディスカッションができたと思いますし、質問もできて違っただろうな、と。コミュニケーションという視点で言えば、たとえば、提携や買収といった場面など、相手企業の経営者と通訳を介して話をしていると、なかなか仲良くなれない。自分の言葉で話せるようになると、信頼関係も築きやすいと思いますね。

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