いまなぜ、コーチをつける社長が
増えているのか?
組織全体にインパクトを与える
「システミック・コーチング」
「社長のコーチ」が注目される一方で、一対一のコーチング自体にも課題が生じていると伊藤氏は説明する。
「前述したように、企業の経営環境が急激に変化する中では、経営者一人をブラッシュアップするだけでは限界があります。経営者の周辺にいる人々にもコーチングの影響を与えることで、組織全体にインパクトを与える必要があります」
そのために、コーチ・エィが独自に開発したのが「システミック・コーチング」と呼ばれる構造だ。一般的に、コーチングにおける関係者は、コーチとクライアント(コーチングを受ける人)の二者間とされる。それに対して「システミック・コーチング」では、クライアントの上司や同僚、部下などのステークホルダー(関係者)も含め、職場でのコーチングの実践およびフィードバックを繰り返すことで、リーダーだけでなく、組織全体に変化を起こすことを目指す。
特筆すべきは、同社のサービスの場合、360度アンケートの収集にとどまらず、企業のゴールに則したオリジナルリサーチを実施し、信頼性の高いエビデンスベースの分析が行われることだ。と言うのも、同社は早くから「CRI(コーチング研究所)」を持ち、ITを駆使したリサーチツールの開発やデータの蓄積などに努めてきたのである。コーチングサービスでは、その品質がコーチのスキルや経験など属人的な部分に左右されがちだと言われるが、同社であれば、このようにエビデンスに基づくコーチングが行われるため、質の高いサービスが提供されるわけだ。
「今やリーダーは、周りの人を牽引するだけでなく、目標の達成のために周りの人に変化をもたらす人のことです。日系企業がアジアなど海外に1万社以上も進出している中で、圧倒的にリーダーが足りません。当社のサービスを通じて、次代を担うリーダーを育てるお手伝いをしたいと考えています」と伊藤氏は力を込める。