先の先を見据えながら
「世の中の役に立つこと」を追求し続ける 大和ハウス工業

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2015年3月期決算で、第4次中期経営計画で掲げた数字を1年前倒しで達成する見込みの大和ハウス工業。創業60周年を迎え、その勢いは一段と加速しているように見える。大和ハウス工業の競争力に迫るシリーズは、樋口武男会長と大野直竹社長へのインタビューで締めくくりたい。

「サステナブルな企業を目指して」
創業者が抱いた将来像の実現を

代表取締役会長 樋口 武男

「創業者や創業の理念をないがしろにする企業が、継続的に発展し続けるとは思えません」と語りはじめる大和ハウス工業の樋口武男代表取締役会長。「おかげさまで創業60周年を迎えましたが、これからも『何が世の中の人の役に立ち喜んでもらえるか』、という創業者・石橋信夫の考え方を継承し、実践していかなくてはなりません」。

その一方で樋口氏は、こんなエピソードを披露する。「創業者が流通店舗事業部を立ち上げた1970年代、流通店舗という言葉そのものが存在しませんでした。しかし、『なかったらつくればいいじゃないか』と。目の前のお客様が抱えている課題を解決するために、世の中の先の先を見据えながら、既成概念にとらわれない柔軟な発想をする。そうした創業者の姿勢には、今も学ぶべきことが少なくありません」。

そればかりではない。

「創業100周年の時に売上高10兆円」という創業者が抱いた夢の実現に向けて、樋口会長が掲げたキーワードが「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・ノ」事業。明日の社会に不可欠な事業を展開していくというメッセージだ。

「アは安全・安心、スはスピードとストック、そして福祉、環境、健康、通信、最後は農業と、それぞれの分野で社会や人の役に立ち喜んでいただける事業をつくっていく。たとえば、1989年に高齢化社会を見据え、業界に先駆けて設立したシルバーエイジ研究所です。医療・介護施設に関する課題の研究に特化し、その知見を実際の医療・介護・高齢者福祉施設の施工などに活用していますが、こうした領域でも新しい布石を打っています」と樋口氏は語る。

まったく新しい領域では、ベンチャー企業に出資するケースも。「ベンチャー企業を見る際、人と技術を重視しますが、私どもの理念を共有できるか否かも大切なポイントなのです」と樋口氏。多くの大企業がベンチャー企業との協働を模索している中で、大和ハウス工業の手腕は高い評価を獲得している。

一方、樋口氏が注力しているのが「人財」の育成だ。幹部候補を発掘する目的で始めた「大和ハウス塾」の卒業生はすでに271名にのぼる。塾生全員と面接し、これはと思った人物にポジションとチャンスを与えるのが樋口氏の流儀。「社員が大きく育っていく姿を目の当たりにし、そして何よりも結果が伴ってきた現在の姿から、戦う組織になってきたと実感します。これからも、創業100周年に向け、継続的に発展していくために社員の人間力を高めていかなくてはなりません」と樋口氏は強調した。

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