「ノース」だけじゃない!「アーク」爆売れのなぜ カナダ発のアウトドアブランドに若者が殺到
アークは1989年にカナダで創業した本格派のアウトドアブランド。クライミング用のハーネス(ロープと体をつなぐ安全用具)の製造からスタートし、現在は主に山岳用のウェアやザックを展開。高い品質・機能性と無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインが特徴で、山岳ガイドをはじめ、登山やクライミング、大自然の雪山を滑るバックカントリーなどの熱心な愛好家たちから高い支持を集めているブランドだ。
アークの商品はほかの有名アウトドアブランドと比較しても値段が高い。定番の秋冬用の化繊綿入りジャケットは約4万円、アウトドアフィールドに欠かせないゴアテックスの高機能素材を用いた防風防水シェルは廉価版でも5万円、本格仕様だと8万~12万円もする。
そんな本格派の高級アウトドアブランドが今、日本で飛ぶように売れている。店頭に並べればすぐに売り切れるほどの人気ぶりで、公式のオンライン通販も多くの商品が完売状態。安価なファストファッションにおされて不振が続くアパレル業界から見れば、なんともうらやましい話だ。
「登山に関心のない人たち」が消費を牽引
ではなぜ、これほどまでに人気に火がついたのか――。
アークは長年にわたってアジアでは現地の代理店に販売を任せていたが、買収して親会社になったフィンランドの総合スポーツ用品企業、アメアスポーツが2014年から直接販売する体制に変更。これを機に日本でも直営店の展開を始め、2022年10月には東京・丸の内に国内13店舗目となる直営店をオープンした。
「直営店の出店によって、主要な商品を一堂に展示し、ブランドの全体像を消費者にきちんと伝えることができるようになった。ブランドイメージの訴求で大きな効果があったと思う」。アメアスポーツジャパンの高木氏はそう振り返る。
以前と大きく変わったのは客層だ。先述したようにアークの商品は値段が高いため、タウン用のリュックなど一部の商品を除けば、これまでのメイン客層は「経済的に余裕があり、登山など本格的なアウトドアを趣味とする40〜50代の男性」(高木氏)だった。
一方、今のアーク人気を牽引するのは20~30代の若い世代だ。といっても、彼らがアークのジャケットやシェルを着て山に出かけるわけではない。直営店や登山専門店の販売員は、「そのほとんどは登山などに関心のない人たち」だと口をそろえる。要は、若者が街着として購入しているのだ。
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