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予防マニュアルの不適用が死者154人を生んだ ソウル圧死事故、事故を防げなかった行政の対応

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2022年10月29日、ソウルで発生した圧死事故の現場を規制するソウル警察(写真・2022 Bloomberg Finance LP)

ソウル・梨泰院地区で発生した圧死事故での死亡者数が154人になったと、ソウル市警察庁が2022年10月30日午後、発表した。死亡者の性別は男性56人、女性98人。外国人の死亡者は14カ国26人となった。身元不明な死亡者が1人。

今回の事故に関連して、事故を予防するためのマニュアルや対応策が不足していたことが明らかになった。とくに今回の場合、10万人以上が押し寄せることが予想されていたのにもかかわらず、イベント主催者がはっきりしない自発的なイベントという理由でマニュアルの内容が適用されていなかったことがわかった。

地域イベントマニュアルを2021年に作成

10月30日、韓国の行政安全省とソウル市などによれば、行政安全省は地域のイベントの安全と事故を予防するための「地域イベント場安全管理マニュアル」を2021年3月に公開している。マニュアルは「災難および安全管理基本法」によって地域のイベントの事故を予防する目的で作成された。地域イベントが行われる場所とイベントに使われる資材、時間などによって事故を予防するための具体的な方法などが整理されている。

しかし、今回の梨泰院での事故は自治体が主催したのではなく、同地域の商工人たちと参加者の自発的なイベントだったことに加え、マニュアルが適用されていなかった。

ソウル市関係者は「通常、地域のイベントの場合では区庁(区役所)や民間団体などのイベントを主催する場所があれば、該当主催者側が立てた安全対策を審議したうえでイベントを許可するが、今回のケースは特定の主催者がおらず、マニュアルが適用されなかった」と明らかにした。

とはいえ、政府と自治体が主催者の有無とは関係なく、行政安全省のマニュアルを積極的に適用していれば惨事を防ぐことができた可能性が高い。このマニュアルによれば、イベント期間中に1000人以上の人が参加することが予想されている地域イベントは、警官、警備員など安全管理要員の配置などの計画を事前に立て、事故を予防するようになっている。

とくに「多くの安全管理要員を分散して配置することも重要だが、より危険な地域に集中して配置すべき」と明示されている。また「公共、民間などが開催する小規模イベントについても、イベントの特性とリスク、規模などを考慮して市長や区長など首長がマニュアルを適用するかどうかを判断できる」となっている。

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【100万人の観客でも事故を予防したケースも】

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