パーソル、企業内大学に見る「独自の人材育成術」 創立50周年へ、中途採用に本腰を入れる理由

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今多くの企業が導入している「企業内大学」制度。本腰を入れて取り組んでいるのが、総合人材サービスのパーソルグループで人材派遣・アウトソーシング事業を手がける、パーソルテンプスタッフだ。社員が講師となり同僚や部下にさまざまなノウハウを教えるという、社内リソースを存分に生かした施策である点が特徴的だ。「Temp University(テンプユニバーシティ)」と名付け、開学したのは2022年4月のこと。実はこの背景には、同社にしかと根付く、社員同士が自律的に教え学び合う独自のカルチャーがある。23年に創立50周年を迎え、中途採用活動に本腰を入れる老舗の、ユニークな“社員育成術”に迫った。

中途採用社員のつぶやきにアイデアを得た企業内大学

パーソルテンプスタッフといえば、人材サービスがまだ一般的ではなかった1973年に創業し、人材派遣、人材紹介、アウトソーシングなどのサービスを開拓してきた老舗だ。そんな同社を長く支え、リーディングカンパニーたらしめた要因の1つが、独自の“社員養成カルチャー”だ。同社人事本部長・加瀬洋子氏はこう話す。

「社員同士で“教え学び合う”文化が、世代を超えて根付いています。例年新入社員には、教育担当を名乗り出る社員が複数現れるのが通例。

ほかにもいろいろな草の根活動が行われてきましたが、その最たるものが『◯◯塾』です。現場で長年活躍してきたベテラン社員が、自分のノウハウや成功体験、失敗した事例についてほかの社員に直接伝えるというもので、◯◯には、教える社員の名が入ります。このように当社には、教える側も教わる側も自発的に共有の場を持ち、組織として浸透させていく文化が息づいています。そもそも人材サービスは、顧客企業と働く人の双方を幸せにすることが命題。教え学び合う文化が、事業の成功に向けた底力になっていると感じます」

当社は、23年5月に創立50周年を迎えます。次の50年の先にある100年企業を目指し、今大きな転換点にある
パーソルテンプスタッフ 人事本部長 加瀬 洋子氏

そんな誇るべきカルチャーを仕組み化することを目的として、2022年4月に開学されたのが、同社の企業内大学「Temp University」である。近年、同じように企業内大学を設ける会社は少なくないが、同社がユニークなのは、ほぼすべての講座の講師を社員が担当している点にある。

「数年前、中途入社してきたばかりの社員がつぶやいた言葉が忘れられません。『当社の教え学び合う文化は、大きな財産です。これをベースにすれば、とても質の高い社内講座をつくれますよ』と。この漠然としたアイデアを形にしたいと、すぐに実現に向けて動き出しました。結果、衝撃的なスピードでローンチまで到達したんです」と加瀬氏は振り返る。

すでに多くの実績を積み重ねてきた同社がこの取り組みを推進する背景には、環境の変化がある。

「労働市場を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、働く個人の考え方や働き方も多様化しています。そんな中で価値ある人材サービスを提供し続けるには、社員が自律的に自分自身をアップデートしていくことが不可欠です」(加瀬氏)

学び直しの仕組みが内蔵された組織で教える側も大きく成長

「Temp University」では、25年3月までに200講座を提供する予定だ。講座の内容は、専門知識やツールの活用など業務に直結する分野と、人間力や普遍的な教養を高める分野の2つに大別される。

「例えば、テキストコミュニケーションのコツなど、仕事を円滑に進めるための基礎を教える講座が『ガバイブル』。ガバナンスとバイブルの合成語で、間接部門で長年実務を担ってきた社員が講師を務めます。『What’s RPA』は、とっつきにくく見えるRPAの概念や価値を、業務効率化の担当者が身近な例とともにかみ砕いて伝えるもの。またコミュニティー的な講座としては『小学生の親になって働くとは』があり、小学生の子どもを持つ親が、日々の生活と仕事について語り合っています」(加瀬氏)

こうした社内での教え合いにより、教わる側は実務に直結する生きたノウハウを、社内ミーティングの延長で気軽に学べる。学び直しの仕組みが、社内コミュニティーに内蔵されているとも捉えられる。

さらにもう1つ、大きな副産物がある。それは教える側の成長だ。人に教える行為は、定着率の高い学習法といわれる。他人に教えることで、ノウハウや知識が言語化・普遍化されるためだ。

「また、精神的な成長にも寄与すると考えています。人に教えるにはそれ相応のインプットが必要で、もちろん手間もかかる。それを乗り越えて実行することで、組織全体を見る視座の高さが養われます」と加瀬氏は期待を寄せる。

Temp Universityの講座が実施されている画面

こうした施策から、同社の人材育成への姿勢、そして人材を重んじる企業文化がうかがい知れる。働く環境についても、同社はコロナ禍を機にリモートワーク環境を本格導入した。これにより働く個人が、出産・育児、介護やパートナーの転勤などを踏まえ、自分のスタイルに合った働き方を選べるようになった。

各業界から中途採用を行いハイクラス人材が集っている

よりよい人材育成方法や働く環境を追求する同社。その根底に横たわるのが、社会貢献の概念だ。

「社会貢献といえば聞こえはいいですが、それは人類がこれまで長らく解決できなかった課題に向き合うことでもあります。社会課題の解決に挑戦して真の課題解決を果たすには、社員のスキルやノウハウはもちろん、人間力も不可欠でしょう。当社は23年5月に創立50周年を迎えますが、次の50年の先にある100年企業を目指し、今大きな転換点にあると考えています」

社会貢献の実現や目まぐるしく変わる社会情勢への適応には、社外から多様な人材を招き入れ、新たな発想を得ることも肝となる。すでに同社には、データアナリストから弁護士に至るまでさまざまなバックグラウンドのハイクラス人材も入社しており、今後は中途採用にいっそう注力していくという。

「当社では、多種多様な人材が適材適所で活躍しています。あえて当社と相性のいい人材を挙げると、多少なりとも“教え学び合う”という気質を持っている方でしょう。自分の知見を周りにシェアすることや他人のスキルを学ぶことに貪欲な方、積極性のある方は大歓迎です」

教え学び合う文化を礎に、社員が自身を日々アップデートし、それを糧に事業を拡大してきた同社。この独自の人材育成術こそ、50年近くにわたって日本社会に雇用を創造してきた同社の「底力」となっている。

>>はたらき方は、生き方そのもの。パーソルテンプスタッフの採用ページはこちら

中途入社社員2人の事例紹介

パーソルテンプスタッフに中途入社し、適材適所で活躍する社員2人に話を聞いた。

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第一営業本部
東京第四営業部 新宿四課
営業担当
田中 大貴氏

──これまでのキャリアを教えてください。

IT商社、PR会社、HRTechという異なる業界の3社に勤めた後、2019年11月にパーソルテンプスタッフに入社しました。当社では、企業への提案営業や、派遣スタッフの方々の就業フォローなどを担当しています。

──人材業界で働くことの魅力は?

企業の担当者、派遣スタッフの双方とコミュニケーションを図る仕事なので、必然的に多くの方々と関わる点に魅力とやりがいを感じています。大変な面もありますが、私の提案によって両者のニーズを満たせたときは、疲れが吹き飛ぶくらいうれしいです。

──働く環境については、いかがですか?

事情を抱える社員であっても働きやすい環境が整っていると感じます。社員の声やニーズを集めるアンケート調査も、よく行われていますね。

また、担当業務と並行して別の業務に携わることができる「ジョブトライアル制度」や、これまでとは異なるグループ会社内の仕事に挑める「キャリアチャレンジ制度」など、挑戦を後押しする制度も充実しています。自身の働き方や考え方の変化に合わせた選択肢が用意されていることに、安心感を覚えます。

──貴社で活躍する人材には、どんなタイプが多いですか?

自分のことを後回しにしてでも、顧客企業と派遣スタッフの方のために行動する人。目先の利益ではなく、誰かのために業務に取り組む。そんな人材が多く、日々刺激をもらっています。

 

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第一営業本部
東京第五営業部秋葉原二課
営業担当
木澤 優果氏

──これまでのキャリアを教えてください。

新卒で地元の銀行に入行し、フロアマネジャーなどを務めました。当社へ入社したのは2020年2月。以降、企業への提案営業や派遣スタッフの方々のフォロー業務に就きながら、ファンづくりを目的とした新事業の企画・運営に携わってきました。

──必要なスキルやノウハウは、どう身に付けましたか?

中途社員にも1カ月以上にわたる研修があり、研修後も先輩の業務に同行する中で業務スキルやノウハウを習得してきました。入社から数年経った今でも、若手社員向けの研修を受けられますし、業務に必要なITスキルを学べる自由参加型の研修も利用しています。

──貴社ならではの強みは、何だと思いますか?

「責任感を持って、愚直に誰かのためにやり遂げられる人材」が多くいることが、最大の強みだと感じています。そうしたメンバーが周りにいるおかげで、私も仕事の厳しさと楽しさ、そして誰かの役に立てることのすばらしさを学ぶことができました。

──やりがいを感じる瞬間は?

人材業界で働くいちばんの面白さは、多様な企業と求職者の方々に関われる点です。

何よりうれしいのは、そうした方々に「ありがとう」と言われる瞬間です。企業様から「あなただから依頼した」と指名いただいたり、派遣スタッフの方から「あなたに紹介してもらって、得がたい職場と出会えた」と言われる瞬間は、この仕事に就いて本当によかったと感じます。 

※部署名は、2022年9月30日現在

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