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サブサハラ地域におけるゲートウェイ ―南アフリカを起点としたM&A戦略と事業展開の展望―

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
三菱東京UFJ銀行 常務執行役員
吉川 英一 氏
急成長を遂げる南アフリカ。この地域におけるビジネス戦略を知るための「グローバル経営支援セミナー 南アフリカ編」が2月、大阪、名古屋、東京の3カ所で開かれた。東京大会ではまず、三菱東京UFJ銀行常務執行役員の吉川英一氏が「日本企業のアフリカビジネスは加速しつつある。さまざまな視点からの情報をサブサハラ地域でのビジネスの一助に」と挨拶して、幕を開けた。
【共催】
三菱東京UFJ銀行、南アフリカ貿易投資庁
駐日南アフリカ共和国大使館、東洋経済新報社

【基調講演】
「南アフリカならびにサブサハラ経済の現状」

三菱東京UFJ銀行 ロンドン支店ヨハネスブルグ出張所長
横井 慶郎 氏

2年5カ月前に着任し、サブサハラ47カ国を担当している横井慶郎氏は、現地の経済動向について解説。南アフリカの名目GDPは日本の7%程度にすぎないものの、タイ、マレーシアなどのASEAN諸国に近い規模に成長していることを解説。ただ、欧州、中国における経済調整の長期化、さらに国内的には2012年以降の労働争議や最近の電力事情の逼迫などの影響を受け、景気が減速していることも指摘した。

投資動向としては、アフリカ域内の直接投資が倍増していることに注目。中でも南アフリカが約半分を占めていることから、サブサハラ経済をリードしている南アフリカの企業に対して、日本企業が提携、合併さらにM&Aなどを通じてアフリカでの事業展開を拡大することが重要であると語った。

【講演1】
「Gateway to Sub Saharan Africa」

First Rand Bank Group Head of Investment Banking Division Africa
ングギ・キウナ 氏
First Rand Bank Group Head of Debt Capital Markets Division
デイル・ウッド 氏

アフリカ最大規模の金融グループFirst Rand Bank グループの資本市場部門を管轄するデイル・ウッド氏は、三菱東京UFJ銀行がFirst Rand Bank グループとのパートナーシップを提携したのは、アフリカにおける実績を評価されたためとアピール。同グループは、アフリカ11カ国でのビジネスを展開し、一昨年、昨年の「アフリカ・バンカー・アワード」を受賞。「アフリカで最もクリエイティブな金融機関」と自負した。

続いて、投資銀行部門を管轄するングギ・キウナ氏は、アフリカでのビジネス展開の魅力を解説。直接投資の拡大や人口の増大など経済が活発化している要因を語った。またヨハネスブルグをはじめ、都市化が急激に進行していることも需要を後押ししていると解説。長期的に持続可能なビジネス展開のためには生産、経営等の現地化が必要であり、現地でのプロセスを共にするパートナーの存在が不可欠だと語った。

【講演2】
「INVESTMENT
ENVIRONMENT&OPPORTUNITIES」

南アフリカ貿易投資庁 副次官代行
ユヌス・ゴーラム ホーセン 氏

ユヌス・ゴーラム・ホーセン氏は、南アフリカ貿易投資庁副次官代行としての立場から、同国の優位性を解説。地理的なアクセスの良さや積極的なインフラ開発、政治的に安定していることなどを挙げ、アフリカの中でも最も魅力的なマーケットがあることを主張。ワールドエコノミックフォーラム・世銀のビジネスしやすさランキングで、南アフリカの投資家保護や競争力を高く評価。また、ファ
イナンスや法体制においても国際的に高い評価を受けていることを語った。

さらに、国内に10の経済特区があり、税制面での優遇や豊富な天然資源を享受できることをアピール。アフリカ成長機会法により米国市場へ、経済連携協定によりEU市場へ無税の市場アクセスも可能。また、さまざまなアフターケアが用意されていることも力説し、現地企業との協業等、日本企業の積極的なビジネス展開を呼びかけた。さらにアフリカ地域統合や3つの地域経済ブロックの統合による経済自由貿易協定により、6億人の消費者にアプローチできると語った。

【講演3】
「サブサハラ・アフリカにおける
M&Aトレンドと留意事項」

KPMG南アフリカ シニア・マネジャー
會田 浩二 氏

ヨハネスブルグにて日本企業の現地ビジネスサポートに従事する會田浩二氏は、アフリカにおけるM&Aの現状を解説。産業別では通信・メディア・技術産業が件数、金額ともに伸びが著しいと語った。また、南アフリカにおけるM&Aを行う際に考慮しておくべき事項として、広範な法規制やさまざまな税制の存在、ストライキなどの労務問題、複雑な所有構造、高い技能を持った現地の人材の不足、エネルギー不足などを挙げた。

アフリカには域内でのM&Aを積極活用して事業を拡大している会社が数多く存在し、そのような会社が欧米・アジアの企業の買収ターゲットとなっている。今後の買収のターゲットとして、主にナイジェリア・ケニア・南アフリカの企業が、製造・資源・コンシューマー製品等の分野で増加し、また、買い手としてASPAC地域からの投資が、最も活発になるだろうとのアンケート結果を紹介した。

【講演4】
「南アフリカにおけるM&A:
南アフリカへ、そして、南アフリカから
サブサハラアフリカへ」

西村あさひ法律事務所パートナー弁護士・ニューヨーク州弁護士
中山 龍太郎 氏

弁護士の中山龍太郎氏は、法的な観点から南アフリカ企業買収のスキームを解説。留意点として、BEE制度(アパルトヘイトによって固定された経済的格差是正のために設けられた黒人経済振興政策)を前提として買収スキームを策定する必要性を強調。また、労務対応や海外親会社への送金にあたっての留意点のほか、M&A契約における紛争解決手段として仲裁が選ばれることが一般的であることなどを解説した。

さらに、南アフリカを起点としてサブサハラアフリカへ投資する際には、南アフリカの外国為替規制等を踏まえて投資スキームを構築すること、またコンプライアンス対応として、汚職防止規制対策、労使紛争を調べておくことが重要であることを強調した。

【講演5 (東京会場)】
「サブサハラアフリカの情報通信(ICT)ビジネスについて ―日本企業躍進へのキーワード―」

日本電気 海外事業企画本部 主席主幹
吉川 理裕 氏

通算7年にわたり南アフリカに駐在し、サブサハラを担当した吉川理裕氏は、情報通信ビジネスの観点からサブサハラ諸国の特徴を解説。昨今のインターネット普及を受け、携帯も含めた普及率が南アフリカを先頭にサブサハラ全体に急増し、経済発展を支える情報通信の成長市場として期待が語られた。

また成功事例として、南アフリカ国民ID、ナイジェリア・ラゴス州民IDへの生体認証技術の導入により、安心、安全、効率、公平な社会づくりへの貢献も紹介。これまでのアフリカ社会での通信とITの実績をさらに発展させ、社会インフラに不可欠なICTを活用するビジネスモデル(港湾や道路他)で現地の人材育成や技術移転も含め、地域に根差したかたちで関与し、サブサハラ地域の持続的発展に寄与したいとの展望を語った。加えて、エボラ出血熱対策の赤外線サーモグラフィの実演デモも行われた。

【講演5(大阪会場)】
「M&Aによるアフリカ市場攻略と成長戦略について」

関西ペイント 代表取締役社長
石野 博 氏

11年に南アフリカの企業を買収した関西ペイント。石野氏は、アフリカ市場参入の理由として、中間層人口の増加、豊富な資源のほか、一人当たり塗料消費量の拡大が見込まれることや、グローバル塗料メーカーの未参入などを挙げた。また、アフリカ事業の今後の展開として、低価格化とアフリカ全土でのシェア拡大、工業塗料や防食塗料など現地でのニーズに応え、建築塗料分野以外での対応も視野に入れていることを語った。

さらに、アフリカにとどまらず、世界を7極体制に分け、地域に根差した事業展開を行い、経営リソースの共有化と有効活用を推進することを明かし、講演を締めくくった。