若年富裕層が百貨店の外商カードを選ぶ理由 大丸・松坂屋が開催した限定イベントとは
超高級ジュエリーも! 謎めいた富裕層限定の催事
2022年8月、大阪・心斎橋にある高級ラグジュアリーホテルで、大丸・松坂屋の催事「The Art & Luxury」が開催された。会場にはアーティスティックな提灯が飾られ、さながら大人の夏祭りのようなDJブースからは心躍る音楽が流れてくる。
エレガントなムードが漂うフロアには、注目アーティストの現代アート作品、ハイブランドの限定ジュエリー、インテリア、レアなワインやウイスキーなどが並ぶ。
会場では、来場客に大丸・松坂屋の社員が付き添い、展示品について説明したり談笑したりと、親しげな様子でもてなしていた。このイベント、実は、限られたお客様向けのクローズドイベント。「ご来場のお客様は、大丸松坂屋百貨店の『お得意様』です」と話すのは、同社営業本部の黒柳伸宏氏だ。
「お得意様営業部」という言葉を聞いたことがある人は少なくないだろう。端的に説明すると、一般的には"外商"と呼称される「店舗に出向いて買い物をするのではなく、お得意様担当者がお客様の元に出向いて商品を販売するサービス」。ここまでは知っていても、具体的なサービスの中身を知る人はそう多くないはずだ。
「外商を大丸・松坂屋ではお得意様営業と呼んでいますが、これは世界的にも珍しい日本独自の伝統的なサービスで、ごひいき筋に限り商品購入の入金を一括でお支払いいただく、いわゆる『掛け売り』が起源です。時代とともに形を変えながら、大丸・松坂屋を愛してくださっているお得意様にご利用いただき、現在に至ります。とくに若年層のお得意様が増えているなか、チャットなどの新しいコミュニケーションにも対応しています」(黒柳氏)
大丸・松坂屋のお得意様担当者は「専属コンシェルジュ」のような役割を担う。前述のイベントで来場客をもてなしていた人物たちこそ、この専属コンシェルジュなのだ。お得意様サービスを利用しているお客様向けの催事は、国内各地で年間を通して開催されている。催事ごとに企画や取り扱う商品は異なるが、普段の百貨店の店頭ではなかなか目にすることができないような高額商品や手に入れるのが難しい逸品に出合える格好の機会として、富裕層たちの心をつかんでいるそうだ。
御用聞きにとどまらない、富裕層を満足させるスゴ腕
お得意様営業担当者が、「特別なお客様」にプライベートの執事のような「特別なおもてなし」を提供することが使命。言うまでもないが、誰でも利用できるサービスではない。
最近は若手起業家なども増えているとのこと。実際に、イベントに来場していたのは30代から40代くらいのお客様が目立ち、中にはベビーカーを押しながら展示品を眺めている場面も。
「今は、たいていのものがオンラインで買える時代ですので、若年層のお得意様はネットショッピングを日常的にされている方がほとんどです。ただ、高級時計や美術品、ハイブランドのファッションなど、付加価値が高い商品は文字や写真だけでは判断が難しく、情報の不足感がつきもの。しかるべき知識を身に付けた信頼できる人に話を聞いたうえで、購入を判断したいとお考えになるお客様がほとんどではないでしょうか。そうしたニーズにお応えできるのが、大丸・松坂屋のお得意様営業なのです」
大丸・松坂屋のお得意様営業の特長であり、最大の価値となるのは豊富な商品知識だ。「なぜこの商品はこの値段で売られているのか?」「なぜ希少性が高いのか?」といった商品の基本的な説明はもとより、ブランドの背景やトレンドなど、知識の幅は広い。これは長きにわたり、お得意様営業という文化を守ってきた大丸・松坂屋の伝統に裏打ちされた教育や勉強会、ブランドとのネットワークのなせる技なのだろう。
もうひとつの強みは「御用聞き」にとどまらない提案力だ。充実したライフスタイルの実現のために、さまざまな角度から提案を心がけているという。
「大丸・松坂屋のお得意様営業は、お客様との会話を通して、潜在的なニーズを汲み取るスキルを備えています。例えば、インテリアを新しくされたお客様にお部屋に合うアートや、お好みのブランドから推察して気に入っていただけそうなジュエリーをご紹介することもあります。ときには、オーダーメイドでプライベートジェットを手配した旅行をコーディネートすることも。いずれも、お客様のご趣味や価値観、家族構成まで細かく把握していないと難しいことですが、大丸・松坂屋のお得意様営業だからこそ、信頼してお任せいただけるのだと思います」
もちろん商品に関することだけではなく、「冠婚葬祭」や「パーティー」など、重要な人付き合いやフォーマルな場面でのマナーなども伝授してくれるという。
「お祝いや弔事など贈答のマナーは、シーンによっても、地域によってもさまざまです。聞いていただければ、最適なマナーをお伝えいたしますし、のし紙など掛け紙一つでも必要なアイテムを必要なときに速やかにご用意いたします」
「大丸松坂屋お得意様ゴールドカード」で約束される多彩なメリット
特別なお客様に限り、重い扉が開くお得意様サービス。その扉のカギとなるのが、「大丸松坂屋お得意様ゴールドカード」だ。審査基準は未公開だが、最低条件は20歳以上・日本国内在住であること。オンラインから入会登録ができ、厳正な審査を経て手にできる、特別なクレジットカードである。
提供される「特別」は大きく5つある。1つ目は、さまざまな要望に対応する専属コンシェルジュが商品の提案やイベントのアテンドをする「コンシェルジュサービス」。黒柳氏は、「大丸松坂屋お得意様ゴールドカードのいちばんの特長であり、皆様お求めの『特別』はやはり専属コンシェルジュサービスです」と話す。
2つ目は前述のようなお得意様限定のイベントへの参加。3つ目はお得意様限定のプレミアムサイト「コネスリーニュ」での入手困難なアイテムのオンラインショッピングやチャットができることだ。最近は、Face to Faceだけではなく、チャットでのやり取りを希望する人も多いという。デジタル化の潮流にも、お客様ファーストで対応している点もさすがだ。4つ目は最大10%のご優待率、5つ目は百貨店に常設したお得意様専用ラウンジの利用だ。
好奇心の幅を広げるきっかけになりそうなお得意様サービス。「こんな情報を知る機会がなかったと喜ばれるお客様が多いです。年齢に応じて欲しい商品は変化するもの。私どもがお客様の変化にずっと寄り添える存在になれたら」と黒柳氏。
「運命の一品に巡り合いたい」「心地よく自分らしい暮らしを送りたい」、お得意様サービスはそうした思いに寄り添ってくれるパートナーだといえるだろう。"百貨店のお得意様"という響きに縁遠さを感じる人もいるかもしれない。しかし、忙しい若手世代にとって、信頼できる専属コンシェルジュが身近な存在になれば、暮らしの充実度も変わるのではないだろうか。
About Card
大丸・松坂屋各店やオンラインショッピングでのお買い物は最大10%OFF。ポイントアップデーには、さらに優待率がアップされる。年会費は本会員11,000円(税込)、家族会員1人につき1,100円(税込)。家族4人まで家族カードを発行できる。
2022年12月16日に加筆修正いたしました