その日、稲盛はガンを告知された。「やはり、ガンですわ。すぐ切らなきゃいけません」。手術の日を決めそのまま新幹線に乗って岡山の盛和塾の会合へ。講義をし、質疑応答をこなし、コンパをやり、帰りの新幹線でまた塾生たちの経営相談に乗る。
「塾長はいつも全力投球。自分を振り返って、あそこまで真摯になれるか」。入塾4年目、半導体商社PALTEKの社長・高橋忠仁は盛和塾に出席するたびに反省する。
中小企業経営者の悩みは深い。やっと採用した新人も、茶髪や元暴走族ばかり。家庭も学校も見放した連中に、挨拶の仕方から始まって、生きるとはどういうことか。体を張って教えるしかない。が、教えるほうも自信がない。自信のないオヤジたちを支えるのが、「相手のことを真摯に考えろ」と叱咤する稲盛である。
ノーベル賞の向こうを張って「京都賞」を創設
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