世界ではコロナ「以外」の感染症が流行の兆し オーストラリアではインフル、英国ではサル痘
まだまだ続くコロナ禍だが、海外では旅行や経済活動など「コロナ前」の状況にもどりつつある。「そろそろコロナによるパニックも終焉か」というムードも広がっている。
一方、コロナの間に鳴りを潜めていたほかの感染症が流行の兆しを見せている。今回は一足先に冬を迎えた南半球オーストラリアのインフルエンザと、日本と同じ島国ながらさまざまな感染症が広がりを見せそうなイギリスの様子をレポートしたい。
オーストラリアではインフルワクチン無料接種が奏功か
この2年半のコロナ禍でソーシャルディスタンスが保たれ、マスクの着用が義務づけられていた時期があったことも影響してか、すっかり鳴りを潜めていたインフルエンザ。オーストラリアでは、2020年は検査による確定例が2万1266人で死者が37人、2021年に至っては感染者数はわずか598人で死者はゼロ。コロナ前の2019年は感染者数が約31万人と異常に流行した年だが、その前の5年間平均値約11万人と比べても極端に少なかった。
ところが南半球が秋に入った3月からオーストラリアでは流行の兆しが見えてきた。冬に入ったばかりの6月19日時点での今年ののべ感染者数は14万7155人と、すでに上記の5年間平均値を超えている。
現在オーストラリア全体で1日当たり2万4000人ほどのコロナの新規感染者が報告されているのに対し、インフルエンザは4000人ほど。コロナと比べて数字的にはまだ少なく見える。ただしこれは病理検査に正式に出されて判明している数。熱などの症状は出てもコロナのRAT(抗原検査)で陰性だったので医者などにかからず静養しただけの人も多いと考えられ、報告されていないケースが相当数あると思われる。
また上記の1日4000人の数字は6月19日までの2週間の平均値で、それまでの2カ月超の総感染者が約9万人だったことから、明らかな増加傾向が見られる。ちなみに病理検査で判明したうちのほとんどがインフルエンザA型だ。
オーストラリア連邦政府はそれまでずっと有料だったワクチンの接種を急きょ5月下旬から6月末まで無償で提供した。6月26日の時点では総人口約2600万人中、約967万人が接種。接種率は37%にも上っている。