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グラミンモデル超える、農家のための小規模金融 毎週返済が難しい農業には「逐次融資」が有効

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  • 高野 久紀 京都大学 経済学研究科 准教授

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バングラデシュのダッカ郊外で、クワとザルを持ち、線路を歩いて農作業へ向かう人々(写真と記事は直接関係ありません)(写真:kouji/PIXTA)

人は生まれついての起業家だ──。この信念の下、バングラデシュの経済学者、ムハマド・ユヌスは貧しい人々に少額のお金を無担保で貸すグラミン銀行を始めた。「毎週返済」や「グループ貸し付け」のルールを取り入れた「グラミンモデル」と呼ばれる融資方式で98%以上の返済率を実現し、多くの人々を驚かせた。これを踏襲したマイクロクレジット(MC)という融資プログラムの利用者数は、2018年だけで世界で1.4億人を記録した。

しかし、ランダム化比較試験(RCT)による研究では、所得や事業収入へのMCの影響は限定的かつ、MCの利用率自体も高くないことが報告されている。ただしこれはあくまで既存のMCの効果だ。融資設計を工夫することでMCをより効果的にできないか。因果効果を測定するだけでなく、プログラムの効果を高める最適デザインの研究が求められる。

グラミンモデルは融資を受けて事業を起こす起業家を想定した融資方式だ。しかし貧困層の多くは農業に従事しており、グラミンモデルの毎週返済は農家のキャッシュフローにフィットしない。コメ農家であれば、種まき、田起こし、灌漑、田植え、肥料散布、除草などの長い工程を経てようやく収穫に至り、収入を得る。しかし毎週返済の場合、収入がない収穫前の時期に返済が始まるため、借入金の一部しか投資に使えない。

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