前代未聞のラガルドブログ、9日にECBはどう動く 注目点は「利上げ幅」と「再投資停止の時期」

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政策理事会での決定前にブログという形で方針を明かし、物議を醸したラガルド総裁(写真:Bloomberg)

今週最大の注目点は6月9日に開催されるECB政策理事会だ。たいへん多くの照会をいただくので、ここでプレビューを示しておきたい。今回の政策理事会は5月23日にラガルドECB(欧州中央銀行)総裁の名で突如発表されて物議を醸したブログ『Monetary policy normalisation in the euro area(ユーロ圏の金融政策正常化)』の内容を追認するものになるはずである。

ブログの内容を最高意思決定機関である政策理事会が追認するという構図は本来あってはならないものといえるが、ブログ内で提示された3つの論点、①拡大資産購入プログラム(APP)は7月に終了、②初回利上げも7月に実施、③9月末にはマイナス金利も終了、はいずれも前回の政策理事会(4月13~14日)では明らかにされていなかったものであり、正式な場所で正式な決定を経る必要がある。

また、併せて発表されるユーロ圏経済に関するスタッフ見通しは、インフレ率の上振れを警戒するリスクシナリオも提示しつつ、景気見通しも3月時点よりも厳しい予測値になったと、強調することが予想される。そうでなければ7月にAPP終了と利上げ着手を同時に実現するという踏み込んだ対応は正当化できないはずだ。

利上げ幅は0.25ポイントにとどまるのか

今回、まだ金融市場では浮上しておらず、サプライズになりうる論点があるとすれば2つ。それは、①利上げの幅と②再投資停止の時期である。

まず①に関しては、オランダ中銀総裁などを筆頭に少なくない政策理事会メンバーから0.25%ポイントではなく0.5%ポイントの利上げを推す声が出ている。ブログの宣言どおり、現在マイナス0.50%の預金ファシリティ金利を2会合(7月と9月)でゼロ%以上に持っていくためには、0.25%ポイントずつの利上げが最もオーソドックスであり、今回の記者会見でもおそらくその質問が出るだろう。

仮に、ラガルド総裁の口から0.5%ポイントを否定しない発言が出れば域内金利およびユーロは騰勢を強めることになる。ラガルド総裁の以前の発言傾向を踏まえれば「0.25%ポイントもあれば、必要に応じて1%ポイントもあるかもしれない」といったような言質をまったく取らせない抽象的な語り口でお茶を濁す可能性が非常に高い。しかし、ブログというカジュアルな形式で突然重要情報を発信した今回の経緯を思えば、もはやなんでもありだろう。

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