日本経済が世界から遅れる原因作った「真犯人」 なぜこんなにも新興企業が少ないのか
しかしこれでは、1社当たりの投資額は現状と変わらず、諸外国と比較してかなり少額になってしまう。そのため、スタートアップ議連の中心人物である平井卓也・前デジタル化担当相がPensions & Investmentsに対して語った、日本は「エンジェル」投資家に対する減税措置も必要であるとの発言は心強い。
エンジェル投資家とは、ベンチャー・キャピタルの資金を必要としない、あるいは資金を得られない革新的な企業に「種銭」を出資する投資家である。平井氏は、具体的なことは何も語らなかった。関係者によると、平井氏のさまざまな提案は、少なくとも部分的には、岸田首相のプログラム作成に携わった政府関係者との議論を反映している可能性が高いという。
「華やか」なことが重要なわけではない
岸田首相は、技術に関しても華やかさを追い求めている可能性がある。首相は5つの分野における「国家戦略」を提案したが、その1つ目として挙げられたのが人工知能(AI)だ。これは、超伝導技術やナノテクノロジーを成長の特効薬と考えた過去の戦略と似ている。日本企業は既存の技術すらうまく使いこなせていないのだから、この優先順位は見当違いのように思える。
国の成長を最も後押しするのは、デジタル機器を製造する少数の企業ではない。たとえデジタル技術やソフトウェアが輸入品であったとしても、デジタルを活用して自社を向上させることができる他多数の企業である。
新興企業は老舗企業よりも、新技術を活用して経済全体の成長を促進する手段を開発する可能性が高い。例えば、ネット印刷を手がけるラクスルはネットを利用した宅配便のオークションシステムを構築した。
これによって、配達員の1キロ走行あたりの配達荷物数を大幅に増やすことができた。配達員の収入アップと顧客のコストダウンを達成しただけではなく、地球温暖化防止にも貢献している。このような企業が何万社も生まれたとき、日本は復活を果たすだろう。
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