さらには、2014年1―3月期に続く4-6月期や7-9月期の成長率も、たとえ消費税が上がらなかったとしても、円安インフレによる実質賃金の低下が悪影響として徐々に表れてきて、プラス成長を継続するのはほとんど不可能ではなかったのではないでしょうか。
安倍政権や黒田日銀はタッグを組んで、消費税増税を実現するために株高を演出する経済政策および金融政策を実行してきました。公共投資を大幅に増やしたし、大型の補正予算まで行ってきました。
異例とも言うべき、政府、経済界、労働界の代表者が話し合う「政労使会議」を開催し、経団連に加入する企業に対して「賃上げをしない企業は、企業名を公表する」と半ば脅して、ベアの大幅な引き上げも達成することができました。ですから、消費税増税は、アベノミクス失敗の根本的な理由にはなりえません。
国民は実質賃金下落に苦しんでいる
そもそも物価上昇率に占める消費税増税分2%(=2%の根拠は、物価指数の算出対象となるモノやサービスのうち、課税対象となるものがおよそ7割と想定し、したがって、消費税引き上げ分3%×0.7で、およそ2%になるというものです。ただし、すべての企業が消費税引き上げ分3%の価格転嫁をしたわけではありませんので、実感としては2%を下回っているのは間違いないでしょう)を差し引いても、国民の実質賃金を3カ月平均で見ると、2014年4~6月期では前年比でマイナス1.4%(本来はマイナス3.4%)、7~9月期ではマイナス0.6%(本来はマイナス2.6%)となっています。
また、実質賃金を単月で見ても、直近の10月はマイナス0.8%(本来はマイナス2.8%)、11月はマイナス2.3%(本来はマイナス4.3%)となり、17か月連続で下がってしまっています。
何が言いたいのかというと、円安が進む過程ではタイムラグを置いて実質賃金が下がる傾向が強く、その結果、2013年7月以降の実質賃金は安倍政権の誕生前よりも下がってしまっているということです。
このことは、リーマン・ショック時の特殊な時期を除けば、安倍政権前のデフレ時のほうが、実質賃金の下落率は小さかったという事実を示しています。
そういった事実を直視すれば、リフレ派は、アベノミクス失敗の理由を消費税増税のせいにするでしょうが、そのような責任転嫁が認められるはずがないのです。
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