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「自粛拒否」を許せるか? 社会規範が抱えるジレンマ 適切な情報提供で負の影響を和らげることが可能

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  • 高橋 遼 早稲田大学 政治経済学術院准教授
  • 田中 健太 武蔵大学経済学部准教授

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新型コロナウイルスの感染拡大は私たちの社会に潜んでいた不満を浮き彫りにした。欧米では、アジア系の人々に対する差別的な行動が問題となるなど、社会的な対立が顕在化している。こうした問題を考えるうえで、私たちは「社会規範の役割」をより深く理解する必要がある。

社会規範とは、人々がどのような行動を取るべきかについての判断基準・価値観のことで、この規範自体も社会の中で形成される。社会規範が人々に強い影響を与える社会では社会的に望ましいとされる行動が誘発される、と多くの研究で明らかになっている。

社会規範は両刃の剣?

例えばコロナ対策では、政府の直接的な規制が欧米に比べて弱いにもかかわらず、日本の感染者数、死亡者数は現時点では比較的少ない。これについては日本人が社会規範を強く意識し、自粛や自主的な感染対策が促されたためである可能性が指摘されている。

一方、コロナ禍の中では、「感染対策の徹底が正しい」という規範を強く受け取った人々により、マスクを着けていない人を怒鳴りつける行為や、休業要請に従わない事業者への嫌がらせが発生した。いわゆる「マスク警察」や「自粛警察」だ。社会全体では望ましくない一方、自身の属するコミュニティーでは正しいとされる社会規範が形成されてしまうこともあるのだ。

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