世界的な半導体の需給逼迫を背景に、市場に値上げの波が押し寄せている。半導体各社は、4月以降の価格を10〜20%引き上げると顧客に通知した。
台湾のファウンドリー(半導体の受託製造企業)大手の聯華電子(UMC)や力晶積成電子製造(PSMC)、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)などが、2021年4〜6月期からの値上げを計画している。世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は、大口顧客へのディスカウントをやめて実質的に値上げした。
半導体の需給逼迫を招いた最大の要因は、新型コロナウイルスの世界的な流行だ。半導体メーカーは需要回復が遅れると判断、生産ラインへのウェハー投入を抑制した。ところが、20年後半から想定以上に需要が回復したため、ウェハーもチップも供給不足に陥った。スマートフォンの5G(第5世代移動通信)への移行や自動車の電動化が加速し、それらに実装される半導体の数が大幅に増えたことも需要を押し上げている。
さらに、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)などに対する米国政府の制裁が、エンドユーザーによる半導体の奪い合いを助長している。将来の制裁リスクを警戒し、中国企業が在庫を積み増しているのだ。ある業界関係者は、半導体不足は21年末まで解消せず、値上げは今後も続くと予想する。
(財新記者:屈慧、原文の配信は4月2日)
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