思いもよらぬ打撃を被った石油産業はひとまず回復へと進みつつある。2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響などから、ニューヨーク市場の原油先物価格(WTI)は1バレル当たりマイナス37.63ドルという前代未聞の値をつけた。加えて、とくに航空機燃料の需要が急減するという事態もあった。
こうした需要減に対応するため、一時は稼働率を落とさざるをえない製油所もあった。航空機燃料の需要減退はしばらく続くとみられ、各社はジェット燃料の生産を減らし、代わりに灯油の生産を増やすなどの対策を講じている。
ただ、12月8日時点でWTIは1バレル当たり45ドル台で推移。原油相場は19年に比べ低水準だが、安定を取り戻しつつある。予断は許さないが、コロナの影響が徐々に収まり世界経済が復調に向かえば、石油元売り各社をはじめとする石油産業も21年は業績回復へと向かうとみられる。

一方、石油業界にとってもう1つ深刻なのが、日増しに高まる「脱炭素」への圧力だ。菅義偉首相は10月の所信表明演説で、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする)という政策目標を打ち出した。世界的に見ても、再生可能エネルギーの活用など気候変動対策が進んでいることから、ガソリンなどの石油製品需要のピークアウトが早まるのではないかとの見方もある。そうなれば、国内製油所の統合をはじめ生産体制の再編が加速する可能性がある。
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