東京電力・福島第一原子力発電所では、事故から10年が経過する2021年に廃炉作業の最難関にさしかかる。原子炉の炉心から溶け落ちた核燃料と、制御棒や炉内の構造物が混ざって固まった燃料デブリの試験的な取り出し作業を開始する。
燃料デブリは人が近づくことができないほどの強い放射線を発する。現時点での可能性は低いとされるものの、今の状態を長期にわたって放置した場合に再び臨界(核分裂の連鎖反応)を引き起こしたり、水と反応して水素が発生するリスクも指摘されている。
そのため、国や東電ではそのありかを突きとめるとともに、遠隔作業で取り出して安全に保管するための準備を進めている。
想像を超える困難な作業
試験的な取り出しに必要な腕状のロボット(ロボットアーム)の開発は、東電および東芝、三菱重工業などの原子炉メーカーが共同設立した「国際廃炉研究開発機構」(IRID)が、英国企業の協力を得て進めている。
ロボットアームの長さは約22メートル、重さは約4.6トンでステンレス鋼製だ。原子炉格納容器に設けられた作業用の穴から中に入り、遠隔操作で関節を曲げたり伸ばしたりしながら燃料デブリに近づく。そしてロボットアームの先端に装着した器具で切削して取り出す。
燃料デブリの取り出しには想像を超える困難が伴う。原子炉格納容器内部にはさまざまな機器があり、空間は狭く真っ暗だ。放射性物質を含んだ粉塵(ふんじん)を飛散させないように、散水装置で水を掛けながら慎重に燃料デブリを切削する。粉塵の格納容器外への漏洩を防ぐべく、放射性物質の閉じ込め機能を持つ、金属製の箱を格納容器の外に設置する。ロボットの操作自体は遠隔で行うものの、現場への搬入や装置の装着には人手が必要。作業員の被曝をいかに小さくするかが課題になる。
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