昨年6月下旬。18万件強のかんぽ営業の不祥事が発覚した。主に保険契約を次々と乗り換えさせる不適正募集だ。営業職員の募集手数料(通称ボテ)稼ぎや営業ノルマの達成が目的で、顧客はないがしろにされた。
不祥事発覚の過程で社員の調査や処分も進んできた。が、今年に入ってからの調査・処分は昨年までとは趣が変わってきている。
ある顧客の自宅に書面が届いた。「ご希望に沿った対応をさせていただきます。ご契約をなかったことにして、これまで払い込んだ保険料をお返しします」と書いてある。
書面が出て以降、不適正募集ではない契約の無効化という動きがあるという。「コロナ禍で資金ショートしかけた個人事業主が『これ幸い』と保険料返還を請求している」(日本郵便の社員A)。
かんぽ生命は「一顧客で多くの契約をしている『多数契約』は不適正募集だ」と断定。顧客との契約をなかったことにし、払い込んだ保険料を全額返還している。「多数契約でなくとも、コールセンターや調査員に何回も声高に圧をかける顧客には契約の無効化に応じている事実が多数ある」(社員B)。
約10年前の契約もこの無効化の対象だ。消費者契約法上、時効ではないかと思われるが、「顧客との和解なので、時効は関係ない」とかんぽは説明する。
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