米国が貿易面などで香港に与えていた優遇措置を撤廃すると宣言した(→関連記事へ)。これで米中対立はまた新たな局面に入り、世界2大経済のデカップリング(切り離し)論が浮上している。
5月14日に米国のトランプ大統領は米テレビ局のインタビューで「中国との関係を断つこともありうる」と発言。「世界のほんの一部が悪くなると(その影響で)全体がめちゃくちゃになってしまうようなサプライチェーンは、バカげている」とも述べ、中国に生産拠点を持つ米国企業に本国への回帰を促した。
いずれも経済合理性にかなうとは思えないが、トランプ大統領はなぜそこまで極論に走るのか。
保護主義的な貿易政策の推進を掲げて当選したトランプ大統領は、2018年3月に日本や中国からの鉄鋼とアルミに追加関税を発動した。中国は豚肉など米国からの輸入品への追加関税で報復。これで「貿易戦争」の火ぶたが切られ、19年8月に米国が打ち出した制裁「第4弾」までに中国からの輸入品のほぼすべてが制裁関税の対象になった。
それとは別に、米国では安全保障をめぐり通信機器大手のファーウェイ(華為技術)に代表される中国企業への技術流出に対する警戒感が強まり、中国への米国製品や技術の禁輸措置が立て続けにとられた。
もっとも、技術流出は関係省庁や議会の関心事で、トランプ氏にとっては貿易戦争での成果のほうがずっと重要だった。20年1月には中国が米国からの財・サービスの輸入を17年より2000億ドル(約21.5兆円)増やすことで取引が成立、いったん貿易戦争は休戦状態に入ったかに見えた。
この構図を一変させたのが、今年2月以降の新型コロナウイルスの世界的な流行だ。米国での死者が10万人を超えたことで、有権者からの批判にさらされたトランプ氏は再選のため中国バッシングを加速させた。今では貿易戦争、ハイテク覇権争い、コロナ対策をめぐる泥仕合が一体化。香港問題が加わったことで、事は政治体制の対立にまでエスカレートした。
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