世界は今、新型コロナウイルスとの戦いの渦中にある。共通の敵の存在は当然、各国に国際協調を求めることになる。しかし、具体的にはどのような国際協調が必要となるのだろうか。
リーマンショックの際に直面したのは、標準的な経済政策の国際協調という問題だった。金融政策は自国通貨安を通じて近隣窮乏化につながりやすい一方、財政政策は効果が他国に流出するため、世界同時的な財政出動が求められたのである。現実には量的金融緩和政策などが通貨安競争を招くといった面もあったが、協調的な財政出動は確かに実現した。その最大のものが、中国の「4兆元対策」だったことは言うまでもない。
同じロジックは、基本的にはコロナショックにも当てはまるはずだが、自粛や外出制限などで経済活動自体が抑え込まれている現状、総需要政策はあまり効果を発揮できない。財政政策の国際協調は、コロナ感染抑制に成功した後の課題になる。しかも、どれだけ財政出動が必要かは、その間の経済活動の落ち込み次第だ。したがって感染終息までの時間の長さに大きく依存するから、「規模ありき」の発想には疑問が残る。
むしろ現時点で注目すべきは、コロナ感染抑制に関して強い外部性が働くと考えられる点である。ここでA国が感染抑制に失敗し、感染者数が急増するケースを考えてみよう。その場合、ほかの国は自国の感染抑制に成功していても、A国からウイルスが流入してくることを心配しなくてはならない。一国の感染抑制失敗は他国に大きな負の影響を及ぼすのだ。
経済的には、強力な感染抑制策を実行する局面では、他国にも負の影響を及ぼすことは避けられない。しかし、B国がコロナ感染抑制に成功して、早期に経済活動を再開できたと考えてみよう。その場合、他国はB国向け輸出の増加という恩恵に浴するだけでなく、サプライチェーン再開のメリットも受けるだろう。
こうした外部性の政策的な含意は、各国が多少の経済的犠牲を甘受しても、感染抑制を最優先すべきだということになる。経済より命が重要なのはむろんだが、より一層命を大切にすることが国際協調にもつながるのである。
しかも、コロナウイルスとの戦いで各国が協力できる分野は数多い。感染拡大のフェーズに違いがあることを踏まえれば、医療機器にしてもマスクにしても、各国間で融通し合える余地はあるはずだ。余裕のある国からない国に医療スタッフを派遣できればなおよい。ワクチンや治療薬の開発においても、個別企業の利害を超えた国際協力が求められる。その際には、現時点で最も多くの医療データを保有していると考えられる中国の協力がカギとなろう。
このようにコロナとの戦いには国際協力が必要であり、かつその余地は大きいにもかかわらず、自国中心主義がなかなか改まらないのが現状である。とりわけ米国と中国のいがみ合いは目に余る。安倍首相も国内対応で頭がいっぱいかもしれないが、国際協調の面でもぜひリーダーシップを発揮してもらいたいと思う。






















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