経済財政諮問会議は今年2月、「選択する未来2.0」委員会を設置し、2014年に示した人口政策などの進捗状況を検証して、今後の政策的対応の方向を議論しようとしている。筆者は、次のような点で人口政策の基本方向を再点検してほしいと思う。
1つは、人口1億人目標という無理筋の目標の見直しだ。14年の報告書では「(40年ごろまでに)希望どおりに9割の若者が結婚して2人超の子どもを産み育てる状況が実現したとすれば(中略)50年後の人口は1億人程度となり、その後人口の減少は収まると推計される」としている。
しかし、これは実証的根拠を欠き、楽観的すぎる。結婚したい人が結婚し、産みたいと考える人数の子供を産むという状況になったときに実現する出生率(合計特殊出生率、以下同じ)は「希望出生率」と呼ばれており、現状では1.8程度とされている。これは、現在の出生率(18年で1.42)を大きく上回り、人口規模を維持するために必要な出生率の置換水準(2.07程度)を大きく下回っている。
つまり、前回の報告書が掲げた人口についての見通しは、実現がかなり難しく、しかも実現したとしても人口1億人を維持することはできないというものなのだ。
もちろん、少子化対策は必要だ。しかしそれは、希望出生率を目指せばよいのであり、1億人という無理筋の目標に当てはめようとするのはいかがなものか。すべての人の希望が満たされてもなお人口が減るのであれば、人口減少と共存する道を選び、人口が減っても1人当たりの所得が増え、国民の福祉が損なわれないような政策を考えるべきではないか。
人口政策で見直すべきもう1つのポイントは、少子化対策と地方創生のデカップリングだ。前回の報告書は、「人口、経済、地域社会を巡る課題に一体的に取り組む」とうたい、東京一極集中の是正も強調した。一見、当然のようだが、次のような問題がある。
少子化対策は基本的には国の責務だ。地方公共団体が独自の判断で少子化対策に取り組むのはいいが、しばしば子育て世代の取り合いに終わる。これは国全体としてはゼロサムゲームである。また、地域の活性化そのものが進まないと、せっかくその地域で生まれても、就学、就職の際に流出してしまう。政策割り当てという観点からは、国が人口政策を担い、地方は自地域の活性化に専念すべきだ。
なお政府は、東京一極集中の是正は少子化対策としても重要だと言うが、これも実証的裏付けを欠く。その唯一の理由は、東京の出生率が全国でいちばん低いから、東京から地方に人口が移動すれば出生率は上がるはずというものだ。
しかし、簡単に計算すればわかるが、仮に東京都(18年の出生率1.20)の人口の1割(全国の約1%)が流出し(そんなことはありえないが)、これらの人々の出生率が全国平均になったとしても、それによる出生率(全国)の上昇は1.42が1.422になる程度であり、まったくお話にならない。
人口政策は重要だ。そのためにも、現状を踏まえた実証的な分析による裏付けが必要である。






















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