[Profile] Yuval Noah Harari/歴史学者、哲学者。1976年、イスラエル、ハイファ生まれ。英オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教える傍ら、世界中の聴衆に向けて講義や講演も行う。
近年、急速に発展するテクノロジーと科学の進歩は、産業革命を超える社会的変化を私たちに強要しつつある。その変化は産業革命よりもはるかに大きく、そして速い。そのような現代の問題に警鐘を鳴らすのが、世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリだ。
今作『21 Lessons』では科学、テクノロジー、哲学などの最新研究を取り入れながら現代の問題を21個に絞り考察していく。
18〜19世紀に発生した産業革命の影響は大きく、それまでの封建制や君主制、既存の宗教といった思想や社会モデルでは対応できなかった。この変化に対処するために人類は自由民主主義国家や共産主義独裁制、ファシスト体制を生み出した。そしてその社会モデルの有効性を実験するために、1世紀以上に及ぶ戦争と革命を必要としたのである。
だが現在、私たちの文明が持つ、途方もなく大きな力と複雑に絡み合ったグローバルな社会を考えると、20世紀のような血生臭い失敗を容認する余裕はないと著者は言う。今回しくじれば、核戦争や遺伝子工学の力で怪物が生まれたり、生物圏が完全に破壊されたりしてしまう。著者は「人類の愚かさを過小評価してはならない」と警告する。
また、もっと身近な問題は、とめどなく複雑になるシステムを運用していくために高度な知能を要求される仕事が増え、単純作業はAIや機械に取って代わられつつある点だ。この社会に適応できた人とそうでない人の間に大きな格差が生まれている。こうした問題が自由主義や資本主義に亀裂を生じさせている。
ユヴァル・ノア・ハラリはさらに深く思考していく。例えば、ただ単に貧富の差が拡大するだけならば、人々はもう一度、マルクス主義に頼れるだろう。だが最新のAIの発展を丹念に精査していくと、近い将来には「無用者階級」が出現するのではと予想される。共産主義の「物語」はプロレタリアートには有効だが、意味を喪失した無用者階級には無効だ。
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