いよいよ最終回です。最後にお伝えしたいことがあります。それは「口下手は悪いことではない」ということです。もう少し丁寧に言うと、「自分は口下手だ」と思うのなら、ちゃんと対策をすれば何の問題もないということです。危険なのは、自分は話せると思い込み、聞き手が理解できているかに無関心な人のほうです。
相手にわかってもらえるように、話す内容を構成したり、短い文で原稿を作ったりする。スムーズに聞いてもらえるように、口に出して何度も練習する。それだけやって「下手だねぇ」と言われたら、仕方ないと開き直れるでしょう。
いちばんもったいないのは、「下手だと思われたくない」と話すことから逃げること。知ってもらいたい話があるなら、勇気を持って話しましょう。話し方がスムーズかなんて、聞くほうは自分が思うほど気にしていないものです。
そう思えるようになったのは、NHKで担当した「英語でしゃべらナイト」の経験からです。受験勉強での英語は得意でしたが、話すのは別です。テレビで下手くそな英語を話すのは本当に恥ずかしかったのですが、撮影は否応なく始まってしまうので、何とかわかってもらおうと、一生懸命話すしかありません。すると、誰も「あなた、英語が下手ですね」などと言わないことに気づいたのです。気にしていたのは自分だけ。聞いている人にわかってもらうため、精いっぱい努力する。それができればいいと思ったのです。
いろいろなテクニックを連載の中でお伝えしてきました。多くの本にあるような「1分で印象が変わる方法」「人生を変える魔法のフレーズ」などはなく、地道な練習を要するものばかりで、残念に思った方もいるかもしれません。しかし、20年以上話すことを生業(なりわい)として出した結論は、「地道に努力し少しずつ上達していく」のは話すことでも同じだということでした。どうか、口下手だと卑下しないでください。少しずつでも、わかってもらえるように工夫しよう。それだけを考えてくださいね。
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