米ワシントンDCでは、トランプ大統領の弾劾調査に関する一連の公聴会が11月13日から始まり、テレビ中継されている。焦点はトランプ大統領の「権力の濫用」を立証できるかだ。トランプ大統領はウクライナへの軍事支援再開の見返りとして、大統領選挙の政敵であるバイデン元副大統領とその息子の調査を、ウクライナ大統領に要求したという。
米国のテーラー・ウクライナ代理大使は、ウクライナとの裏の外交ルートの存在を証言した。関係者としてマルバニー大統領首席補佐官代行、ペリー・エネルギー長官、トランプ氏への大口献金者で政治任用されたソンドランド欧州連合(EU)大使、トランプ氏の顧問弁護士であるジュリアーニ氏などの名前が挙がっている。
ただしテーラー氏は、トランプ大統領とともに動いていた人物ではない。同氏の証言は伝聞や観察に基づくもので、法的な証拠としての説得性に乏しい。したがって証言は、トランプ氏弾劾に否定的な共和党支持者の態度に影響を与えるほどではなかった。
そこで関心が集まったのが、裏ルートに直接関わったと目されるソンドランド氏の証言だ。20日の公聴会で、トランプ政権が見返りとしてバイデン元副大統領とその息子の不正調査を求めたと発言。「トランプ氏の要求を反映したものだ」「見返りがあったかどうかと問われれば、答えはイエスだ」とも証言した。だが、その後ソンドランド氏は、「(ウクライナに)何を求めているのか」と9月9日の電話でトランプ氏に直接尋ねた際に、「何もない。見返りも望んでいない。ウクライナに正しいことをしてほしいだけだ」と言われたとも発言し、決定的な証拠とはならなかった。
リベラルvs.保守
こうなると米メディアの反応も、リベラルと保守で2つに分かれる。
リベラル派の代表であるニューヨーク・タイムズ紙は社説で、「ソンドランド氏はトランプ氏と複数の上層部の関与を示唆 議会は弾劾訴追投票の前にこれらの証言が必要」との見出しで、さらなる追及を求めている。一方、保守派のウォールストリート・ジャーナル紙は社説で、「駐EU大使証言、弾劾すべき罪見当たらず明らかになったのは周知の事実に関する詳細のみ」との見出しで、弾劾に否定的な見方を示した。
これまでも保守メディアは、「弾劾公聴会は2016年の大統領選挙の結果に納得していない民主党による、党派的なもの」と報道している。そのため、トランプ支持層が弾劾に関する一連の報道によって、トランプ不支持へと傾くことはなさそうだ。
今回の弾劾公聴会に、民主党側は何を期待しているのか。狙いは大統領を弾劾することではない。有権者がトランプ政権の政治手法に危機感を抱き、来年の選挙において民主党候補への支持を増やすことだ。とはいえ、すでに5回開いた民主党の大統領候補を選ぶ討論会はマンネリに陥り、中道と左派をまとめるような強い候補は出現していない。また、ソンドランド証言の直後の討論会では、ウォーレン候補が「(私ならば)彼のような大口献金者を大使には起用しない」と発言した。しかし、自らを不利にするような自滅的行為に賛同する候補はいなかった。
とはいえ、来年の大統領選挙は、激戦州で前回トランプに投票した一部の有権者が民主党支持に回れば結果が変わる。「弾劾公聴会」で保守派の支持が変わらなくてもトランプ大統領は安泰ではない。






















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