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生活空間の中に入り込めるか 福岡市のアカウント登録者は約162万人

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従来のメッセンジャー機能を超え、日常生活のあらゆる場面に入り込むことを目指すLINE。国内月間8000万のユーザー数は天井が見えてきており、ユーザーの利用頻度を上げ、1人当たりの収益をいかに拡大するかが成長のカギを握る。

そんなLINEの目指す理想形に、近づいている街がある。福岡市だ。

「LINE Pay 福岡市の施設・窓口でご利用いただけます!」。福岡市の市庁舎や各区役所の入り口には、そう書かれた緑色ののぼりがはためく(トップ写真)。一般的にLINEペイは飲食店などで使われるが、福岡市内では市役所や区役所の20の窓口や、美術館や動植物園など39の公共施設で利用できる。

旗振り役となったのは、福岡市の高島宗一郎市長だ。LINEとは2016年10月に「情報発信強化に関する連携協定」を締結。さらに18年8月にはその範囲を拡大する新たな連携協定を締結し、ほかのネット企業以上に密な取り組みを行っている。

顕著な例は、17年に開設した福岡市のLINE公式アカウントだ。市の人口が約159万人なのに対し、同アカウントの「友だち」登録数は約162万(いずれも19年7月時点)。スタンプ取得目的のユーザーも一定数いるとみられるが、災害情報などを見るため、周辺自治体の居住者が登録しているケースもある。

ゴミ回収の情報を通知

従来、ホームページやツイッターで市政情報を発信してきたが、「欲しい情報だけ、欲しいときに手に入れられる仕組みを作りたかった」(福岡市・総務企画局企画調整部の井上雄介企画課長)。

そこでLINE公式アカウントでは防災、子育て、ゴミの日など、受け取りたい情報をトーク画面から設定できるようにした。設定した項目内で居住エリア、子どもの誕生日などを選択すると、自分や家族と関係の深い情報だけ受信することができる。

中でも重宝されているのがゴミの日の通知だ。毎週すべてのゴミの回収日について受信する、月に1度の空き瓶・ペットボトル回収日だけ受信するなど、パターンが選べる。

LINEのトーク画面でゴミの日など欲しい情報を選べる

これまで電話・ネット経由で行っていた粗大ゴミの回収受け付けがLINEで行える仕組みもある。粗大ゴミ処理手数料について、6月からは一部地域でLINEペイによる決済も導入。コンビニなどに出向いて支払う必要がなくなり、同地域では回収受け付け全体の30%近くがLINE経由となっている。

これ以外にも、公園の遊具や道路の不具合を担当窓口に通報できるシステムや、市内で全面展開する傘のシェアリングサービス「アイカサ」をユーザーが利用する際、LINEペイを使えば料金が格安になるキャンペーンも始まっている。

外部サービスの傘シェア「アイカサ」と連携。福岡市での開始に合わせ、共同の販促キャンペーンも

福岡市以外での取り組みはどうか。千葉県市川市では住民票の写しの取得申請がLINEのトーク上で行え、手数料はLINEペイで支払える。長野県は中高生向けにいじめ相談などを受け付けるLINE窓口を開設する。

一方で課題も見えてきた。「導入したいと言ってくれる自治体はあるが、企業に比べ割ける予算が少ないなどの事情がある」(LINEの江口清貴・公共政策担当執行役員)。6月に新しく掲げた「Life on LINE」という目標を実現するには、福岡に続く事例をどれだけ生み出せるかが重要だ。

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