日本の工場における5G活用は欧州と比べると出遅れ気味だが、「工場のプロ」ともいえるFA(ファクトリーオートメーション)を手がける企業は5Gの可能性をどう見ているのか。2015年に独企業と経営統合し、欧州の事情にも精通する工作機械の国内最大手・DMG森精機の森雅彦社長に聞いた。
──5Gは製造業にどんな変化をもたらしますか。
製造現場における通信は、プログラムに対して0.1秒遅れるだけでも加工の失敗につながる。さらに1秒遅れてしまうと、ロボットと周囲の機械がぶつかる事故も起こりうる。通信状態の不安定なブルートゥースなどから5Gに通信技術が置き換われば、ロボットとカメラ、センサー間の通信無線化に追い風が吹く。
また工場内は公道と違って自動運転も実現しやすい。機械の場所が決まっているので、従業員に発信器付きのウェアラブル端末を持たせれば無人搬送車は何にもぶつからない。5Gを使えば2030年ごろには工場内の部品や材料の搬送業務が完全に自動化できる。従来は遅延性や機密上の観点からタブーとされてきた、工場の遠隔管理も部分的に可能となるだろう。非常に面白い時代になってきた。
──どんな業界から普及が進みそうですか。
歴史的に最新技術の取り入れに積極的な、われわれ工作機械メーカーから始まるだろう。米インテルの高性能なCPU(中央演算処理装置)を初期に採用したのは、ファナック(工作機械の数値制御装置最大手)だった。
スマート工場の普及へ猛烈にラブコール
国内の顧客は5Gに関心がないわけではないが、今は目先の仕事をこなすだけで手いっぱいになっている。5Gを使ったスマート工場を普及させるためには、うちのようなFA企業が便利さを顧客に伝えていくことも必要だ。
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