読み返したい!『第一次世界大戦の起原【改訂新版・新装版】』
今年は第1次大戦後のパリ講和会議100周年。日本は戦勝5大国の中で、唯一のアジアの国として国際舞台にデビューした。評者は第1次大戦こそが、人類にグローバリゼーションを意識させる端緒になった出来事であると考える。
国際経済の相互依存と摩擦、国際安全保障体制としての国際連盟とその挫折、ロシア革命後のイデオロギー対立、民族自決と植民地解放などさまざまな領域の問題が世界で共有された。まさに現代史の出発点だ。
『第一次世界大戦の起原』は、そうした新たな時代の予兆を、学説的な説明と歴史の物語性を織り交ぜながら、スリリングに描いている。
第1次大戦の原因はいまだに議論が絶えない。第2次大戦の元凶がヒトラーおよびナチスであったことに異論はないだろうが、ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世だけに第1次大戦の原因を帰すことができるのか。大戦争は歴史のさまざまな要因の集積の爆発だ。本書には、多くの謎を秘めた第1次大戦を通して現代史とは何かを改めて考えさせられる。
おすすめ『民主主義 文部省』
『民主主義』も歴史を振り返って現代社会を問い直すのに有益だ。敗戦から4年後に政府が発行した本書には、当時の知的指導層が民主主義を通して日本社会を復興していこうという熱意と気概があふれている。そして70年後の今日、そこから私たちはどれだけ前に進んだのだろうか。改めて暗澹(あんたん)たる思いとなるのは評者ばかりではないだろう。
この記事は有料会員限定です
残り 603文字


