2月22日にスペインのマドリードで起こった北朝鮮大使館襲撃事件は、一見すると北朝鮮の専横政治に向けられた武装抵抗運動のように思える。
だが、今回の事件を北朝鮮国内から湧き起こった本物の反体制運動と考えるのはどうか。そもそも事件の主犯格は、海外で育ち米国で暮らす韓国系のメキシコ人だ。
では、この事件はいったいどう解釈されるべきなのだろう。
犯行声明を出した反体制組織「自由朝鮮」(「千里馬(チョンリマ)民防衛」から改称)の行動を称賛する声が存在するのは確かだ。自由朝鮮は北朝鮮の独裁政権と闘う「自由の戦士」であるため、武装襲撃についてあれこれ騒ぎ立てるべきではない、とする見方が浮上している。
事実、自由朝鮮と一部の支持者は、在スペイン北朝鮮大使館は犯罪国家の出先機関であり、外交使節団に通常認められている法的な保護を受ける立場にはない、といった主張を展開している。
だが、一般人を狙った明らかな無差別テロを別にすれば、テロリストと自由の戦士の境界線は歴史を書く側の政治的な立場によって、いかようにも変えられる。
したがって、ここでは自由朝鮮がテロリストなのか自由の戦士なのかという空疎な議論は排して、北朝鮮の独裁体制打倒を掲げる勢力が武装襲撃に打って出たことの帰結を問うことにしよう。
まず、政治的なインパクトという意味では、自由朝鮮は大した成果を上げられまい。
確かに今回の事件には、何らかの宣伝効果はあった。だが、北朝鮮大使館の職員が縛り上げられ、殴打されたというニュースによって、世界の同情は自由朝鮮ではなく、主に被害者となった大使館職員に向けられることとなった。
それに、このような襲撃事件は北朝鮮のプロパガンダにお墨付きを与えるだけだ。外国は本質的に北朝鮮の敵であり、誇り高き独立国家としての北朝鮮をおとしめるためなら手段を選ばない連中である──。そんな北朝鮮側の見方は今回の件を受けて、いっそうかたくななものとなるに違いない。
この記事は会員限定です
残り 671文字
