3月19日から、大野和士がオペラ部門芸術監督を務める新国立劇場で、ジュール・マスネ作曲の『ウェルテル』公演が開催される。
ドイツの文豪ゲーテの名作『若きウェルテルの悩み』を原作とするこのオペラ。注目ポイントは、 “愛のためなら死ねる”というゲーテの崇高な思想だろう。
「詩人ウェルテルは、美しい娘シャルロットに出会い、一目で恋に落ちるが、彼女にはすでに婚約者がいた。絶望して旅に出たウェルテルだったが、それでも彼女を忘れることがない。ある日、すでに人妻となっていたシャルロットの元へと戻り、再び彼女に愛の告白をするのだが……」
このシーンで歌われる名高いアリア「春風よ、なぜ僕を目覚めさせるのか」は、涙なくしては聴けないほどの美しさである。個人的には、このくだりを聴くためだけにこのオペラに足を運びたくなるほどなのだからたまらない。
原作者のゲーテは、同時代の作曲家たちに多大な影響を与えている。とくにベートーヴェンとの交流は有名で、その様子は、フランスの作家ロマン・ロランが『ゲーテとベートーヴェン』に詳しく記している。偉大な芸術家でありながら、慎み深い高級官僚でもあったゲーテと、自尊心の強いフリーランスの作曲家ベートーヴェンとの対比は、とても興味深い。
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