日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)が東京地検特捜部に逮捕されたのは2018年11月19日のこと。カリスマはどこで何を間違えたのか──。ゴーン氏は2兆円もの有利子負債を抱え倒産寸前だった日産を、苛烈なコスト削減と斬新な経営手法で復活に導いた。その成功の要因をあらためて振り返ると、ゴーン流経営が近年失速していった理由が透けて見える。
再建が成功した理由としてはまず、明確な目標設定と厳格なまでの成果主義が挙げられる。後にゴーン氏の代名詞にもなる「コミットメント(必達目標)」だ。再建計画「日産リバイバルプラン」(NRP)が目標未達の場合は辞任すると宣言し、厳しい数値目標をクリアすることを部下に要求。ぬるま湯体質だった社内に緊張感を生み、社内での求心力も一気に高めた。
縦割りを打破するため、部門横断型のクロス・ファンクショナル・チーム(CFT)を組織。課題やアイデアをボトムアップで吸い上げ、工場や販売店から意見を拾うためにゴーン氏自身も世界中を飛び回った。こうして周囲の意見や現場のアイデアを取り入れたこともV字回復に一役買った。経営に現場の声を反映させ、社内の士気を高めたからだ。

「必達目標」の旗降ろす
ただ雲行きは徐々に変わっていった。「日産とルノーのCEO(最高経営責任者)を兼務し始めた2005年ごろから、ゴーン氏が変節していった」。当時を知る元日産幹部はこう振り返る。次第にルノーの経営に軸足を置くようになり、日産の現場からは足が遠のいた。同時に、反対意見を具申する部下を関連会社や部品メーカーに飛ばしていったという。
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