テレビで2018年最大のヒットドラマは「おっさんずラブ」だろう。ゲイカップルの純愛ストーリーが異例のブームを作ったが、ここ最近のテレビやネット配信のヒットのキーワード「タブーギリギリ」を象徴する作品といえる。19年もこの流れは加速するのか。
18年4月クールに放送された「おっさんずラブ」全7話の平均視聴率は4.0%。決して高くない数字だったが、放送終了後に話題が広まり、主演の田中圭は時の人になった。配信など放送外収入も伸び、テレビ朝日は「上期最大の収穫」と、経営面でも貢献したと認める。続編の映画化も決まり、19年夏に公開予定。後伸びに加え、おじさん同士の恋愛がテレビで支持されるなど異例尽くしだ。
ネット配信では、地上波では放送できない過激な内容や、番組スポンサーが敬遠する企画に挑戦する例が多い。Amazonプライム・ビデオで配信中の松本人志の密室笑わせ合いサバイバル「ドキュメンタル」や、浜田雅功の自動車合戦「戦闘車」などはまさにそれ。禁じ手ギリギリの路線で視聴者の興味を引き出す。
SVOD(定額動画配信)サービスの多くが、コンプライアンスが厳格な地上波の事情を逆手に取り、むしろそうした企画にニーズがあると判断している。そして制作費を投じたオリジナル番組で差別化を図る。
話題集める常識外れの作品が求められている
メディア環境の変化も背景にある。ドラマを中心にテレビ番組のタイムシフトや見逃し視聴が進み、HuluやFODなどテレビ局出資のSVODサービスが番組の同日配信も行っている。テレビ番組はリアルタイムで視聴する時代のヒットの方程式が通用しなくなり、SNSで拡散されやすい「タブー」ワードや、常識を覆す作品が受け入れられている。
こうしたメディア環境の変化は世界各国でも起こっている。仏テレビリサーチ会社のユーロデータは「この7年間で米国とヨーロッパ地域におけるタイムシフト視聴は約2倍に増加した」と発表。海外ではNetflixが市場を席巻し、ハリウッド作品一辺倒の時代から、韓国やスペインなど英語圏以外のコンテンツがヒットしている。
こうした風潮から、19年にはやりそうな注目番組の一つに山田孝之主演のNetflixドラマ「全裸監督」が挙げられる。バブル時代に“AVの帝王”と呼ばれた村西とおる監督の実話を描いた作品が全世界へ配信される。「エロが人間の生きる活力源で、最も重要なエレメント」と話す武正晴総監督がどう“ギリギリなドラマ”に仕上げるかにも注目が集まる。
ネット番組ではこのほか、若者に受けているAbemaTVの恋愛リアリティ番組「オオカミくん」シリーズも勢いが続きそうで、2月に第4弾の放送を控える。またジャニーズ事務所タレントのネット番組露出も増えそうな気配がある。
一方のテレビではゲイカップル作品に二匹目のドジョウを狙う。公式発表されていないが、ゲイカップルのほのぼのとした日常を描いた漫画『きのう何食べた?』がテレビ東京系の深夜枠で実写ドラマ化されるとの報道が持ち上がった。キャストに西島秀俊と内野聖陽の名前が挙がり、話題になっている。
普通では満足できない視聴者が増える中、コンプライアンスが維持できるギリギリの番組が作れるかがカギといえる。






















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